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ネットで見つけた。感想書いた。

飛行機の窓はなぜ丸いのか

飛行機で人気の座席といえば外が見える窓側でしょう。そして、窓側席に座ると気がつくのは窓が丸いということです。まん丸でないにしても、四隅が滑らかな楕円形をしています。

実はジェット旅客機が登場する以前のプロペラ機では、窓は四角くだったのです。

例えば、当時の代表的なプロペラ旅客機であるダグラス社のDC-3を見てみると、客席の窓が四角いのがわかります。

ダグラスDC3

ダグラス DC-3 By Bill Larkins (DC-3 flight on one engine) [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons

 

 

なぜ四角くかった窓が丸くなったのか。結論から言えば四角い窓には問題があったのです。

 

 

ジェット旅客機の登場

第二次世界大戦が終わり軍用機の需要が激減すると、航空機メーカーはこぞって民間機の製造を始めました。しかし、大戦の戦場になったヨーロッパが工場から作り直さなければならなかったのに対して、アメリカには大戦中に使われた航空機のフル生産体制が既に整っていました。そのためピーク時には世界の航空機輸送の90%がアメリカのダグラスDC-3によって占められるに至ったのです。

これに対して大国としての威厳を取り戻したいイギリスは、テクノロジーでアメリカを圧倒する事を目指して新世代の航空機を開発します。それが以前当ブログでも紹介した世界初のジェットエンジンを使った旅客機であるデハビラント社のコメットでした。

デハビラントコメット

世界初のジェット旅客機コメット

 

流線型の胴体に4つのジェットエンジンが埋め込まれた翼を持つ機体は、21世紀の現在これが新型飛行機だと言われても違和感が無い先進的なデザインです。それが1949年に登場したのですから、その衝撃は計り知れません。直ぐに世界最大の航空会社だったアメリカのパンナム(パンアメリカン航空)が購入を決めるなど、イギリスは再びアメリカを引き離してテクノロジーで世界のリーダーに返り咲いたかに思われました。

しかし、問題が発生します。

1953年5月2日、カルカッタ発のコメットが墜落。たった8か月後の1954年1月10日にはローマ発の便も墜落します。さらに3か月後の1954年4月8日に地中海でも墜落事故が発生。コメットは運行停止となり、徹底した原因調査が行われました。

 

 

四角い窓の問題点

コメットのどこに問題があったのでしょうか。

プロペラ機の時代には、せいぜい山よりも少し高い程度の高さを飛んでいました。これ以上高く飛ぼうにも中の人が耐えられません。

対するジェット旅客機のコメットは、高度1万3千メートルを飛んでいたのです。ジェットエンジンはプロペラ機と同じ高度では燃費が悪すぎたため、空気抵抗の少ないより高い高度を飛行する事でこの問題を解決したのです。しかし、この高度では乗客が耐えられないので、与圧といって客室の気圧を調整してやる必要が出てきたのです。 ところがこれには当時誰も気が付いていない隠れた問題点がありました。

Real Engineeringで、わかりやすい説明がされています。

youtu.be

 

客室内と飛行機の外で気圧を変えるという事は飛行機が離陸して空へ舞い上がった後着陸する過程で、機体は微妙に膨らんだり縮んだりするのです。それ自体は想定されていたのですが、四角い窓の四隅にその応力が集中している事は見過ごされていました。飛行機が離陸と着陸を繰り返すたびに、四角い窓の四隅に集中した応力は時間をかけて金属疲労を起こして最後には飛行中の機体を破壊するにまで至ったのです。

解決策はもちろん窓の四隅に応力が集中しないようにする事。こうして飛行機の窓は丸くなったのです。

 

ジェット旅客機のその後

こうして四角い窓の問題点が見つかるとコメットは改良されて窓は丸くなり墜落事故は起こらなくなりました。しかし事故の原因調査と窓の改良による数年間に及ぶブランクの間にアメリカからもジェット旅客機が登場しました。1957年のボーイング707と1958年のダグラスDC-8です。

ボーイング707
ボーイング707 
Piergiuliano Chesi [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons

ダグラスDC8

ダグラスDC-8 By Jon Proctor [GFDL 1.2 (http://www.gnu.org/licenses/old-licenses/fdl-1.2.html) or GFDL 1.2 (http://www.gnu.org/licenses/old-licenses/fdl-1.2.html)], via Wikimedia Commons

 

後から登場した両機は性能面でコメットを凌駕しており、アメリカ側が商業的に成功したことは明らかでした。ボーイング707が1011機。ダグラスDC-8が556機製造されたのに対して、改良されたコメット4と呼ばれる機種は76機しか製造されていません。

しかし、コメットの後を追ったボーイングとダグラスの両社が先の事故から学んでいたことは明らかで、 コメットが存在しなければボーイングかダグラスが同じ間違いを犯していた可能性もあります。

リスクをとって新テクノロジーにチャレンジする人々は常に賞賛されるべきですが、チャレンジャーが必ずしも成功者になるとは限らないのもまた事実です。

 

こうしてジェット旅客機を実現させたイギリスは、商業面での旨味はアメリカに持って行かれてしまったのでした。

 

 

 

 

Reference;

Mustard:https://youtu.be/v0Cg2ZeYa5E