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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

ソニーホンダモビリティーAFEELA 考察 (ブランド名、デザイン、ロゴについて)

2023年1月にCESで発表されてから若干時間が経ってしまっており今更感がありますが、なぜか気になってきたので、ソニーカーことソニーホンダモビリティーのコンセプトカーAFEELAについて考察してみたいと思います。

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ブランド発表

すでにソニーとホンダの合弁会社から高付加価値の電気自動車が発売されるという発表はされていましたが、2023年1月ラスベガスの見本市CESでソニーホンダモビリティーの水野会長から、初めて電気自動車のブランド名の発表がありました。その名もAFEELA(アフィーラ)。

このプロジェクトでテーマにしているAutonomy(自動化)とかAugumentation(拡張)といった英語の頭文字Aの間にFEELが挟まれてAFEELAという構成になっているそうですが、この名前、海外では非常に評判が悪いみたいです。変な名前だと。日本人的には特に変な名前という印象は持ちませんでしたが、どうでしょうか。ソニーウォークマンというブランド名も当時のアメリカ支社から変な名前だと猛反対されたそうですが、その後大成功しているわけですから、まだなんとも判断はできないところかと思います。

ちなみに海外では、テスラとかニコラとかアンペアとか電気にまつわる科学者の名前をとったブランドもいくつか出てきていますが、日本だと歴史の教科書に出てくる平賀源内が電気で有名なので、思い切ってGENNAIとか日本をプッシュしたブランド名でも良かったかもしれません。

AFEELAがどのくらいブランド名として浸透するのか注目です。

 

 

デザイン

なお発表会当日は、プロトタイプ車両も登場し実際の開発が進んでいる様子もアピールしていました。2025年に実際に販売されるモデルそのものということではないそうですが、なんとこのプロトタイプ車両のエクステリアデザインに関してもネット上ではあまり評判が良くないようです。特に、以前ソニーが単独でパートナー企業と開発を進めていたVision-Sという車が非常に好評だったことが引き合いに出されてガッカリしている意見が多いようです。

確かにVision-Sはスポーティーで分かりやすいカッコ良さを持ったエクステリアデザインだったと思いますが、個人的にはAFEELAのプロトタイプは明らかに他がやっていないことをやろうとしているという点で評価できるかなと思っています。おそらくハードウェアとしては出来るだけ無個性で普遍的なデザインにして、ソフトウェアで個性を出すという方向性なのではないかと思います。テスラがインテリアを思いっきりシンプルにして、インパネ中央のタブレットみたいなディスプレイでいくらでも自由にHMIを変更できるように設計していますが、それと同じ考え方を車のエクステリアにまで拡張したという風に理解できます。あとから変更が効かないハードウェアは出来るだけシンプルにデザインして、車としての個性はデジタルな部分でソフトウェアを使って出していくと。

そういう意味では、メディアバーと呼ばれるディスプレイが従来のガソリン車のグリルに相当する位置についているのは注目点です。BMWのキドニーグリルに代表されるようにグリルはガソリン車時代には車のデザインアイコンとして重要な役割を負っていたわけですが、そこをディスプレイにしてしまってユーザーが好きなようにカスタマイズできるというのは、スマホのホームスクリーンを飼い犬の写真にするような感覚とも似ています。未来の車は自分にあった個性的なデザインの車を買うのではなく、メディアバーで自分を表現するのだという意味で従来から一歩パーソナルデバイスとしてユーザーに近づいた世界観を狙っているように思えます。AFEELAのオーナーがメディアバーを使って大喜利を繰り広げて周りのドライバーを笑かすとか、色々な社会現象(社会問題)も起こるかもしれません。いずれにしても、将来振り返った時に自動車デザインの流れを変えた車として歴史に名が残る可能性は十分にあると思います。

そしてもう一点気になるのは、ロゴです。

発表会では、AFEELAというブランド名は発表されましたが、ロゴは見当たりません。受注開始される2025年まで徐々に情報を小出しにする戦略なのか、もしくはGoogleとかSONYのように特定のロゴが存在しないブランドなのか。自動車ブランドとしてロゴが存在しないとしたらそれはそれで新しいですし、もしくはAの文字が動いてAFEELAを形作るモーショングラフィックは確認できるので、これがブランドのロゴに相当するものなのか。

ソニーといえばパソコンブランドのVAIOのロゴが、アナログ信号の波でVAとデジタル信号の1と0でIOを表現しており、それを組み合わせるとVAIOになるという、ものすごく頭良さそうなロゴとかを作ったりしているので、あとからAFEELAのロゴが出てくるならそれもそれで要注目です。

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さて、自動車業界はアメリカのテスラとかリビアン、中国のNIOとかXpeng、ヨーロッパもアライバルなどなどEVスタートアップが盛り上がっているわけですが、AFEELAもソニーとホンダというビッグネームが背後にいるとはいえ日本から世界に注目されるEV専業メーカーが出てきたのは嬉しい限りです。

今後も情報を追いかけていきたいと思います。

ベンツ?プジョー?世界最古の自動車会社はどこか

世界で最初の自動車会社と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのはメルセデスベンツでしょう。

カールベンツがガソリンエンジンで動く自動車であるパテントモトルワーゲンを発明したのが今から100年以上前の1885年のことです。この会社が現在メルセデスベンツブランドで自動車を販売しているダイムラー社へとつながっており、確かに世界最古の自動車会社といえそうです。

 

ガソリンに限定しないとどうか

しかし、ベンツの発明はガソリンで動く車でした。世の中にはガソリン以外で動くクルマもあります。

最近だとバッテリーを充電して走る電気自動車や水素で動く燃料電池車が話題ですし、タクシーは古くから天然ガスで動くものもあります。また、ディーゼルエンジンで動くトラックやバスも忘れてはいけません。

このようにガソリン以外で動く自動車にまで範囲を広げるとどうでしょうか。

 

調べてみると、ベンツのさらに100年以上前である1769年にはフランスのNicolas-Joseph Cugnotという人物が蒸気機関で動く乗り物を発明している事がわかりました。世間ではこれを世界最古の自動車だとする意見があります。

YouTubeにレプリカが実際に走っている動画があります。

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しかしこの機械は、蒸気機関を使って大砲を移動させる用途のために作られたものであり、我々がイメージする自動車とは少し違う発明だったと言っていいでしょう。これもって世界最古の自動車会社とするのは少し違う気がします。

 

さてその後アメリカではOliver Evansという人物が、同じく蒸気機関を使って動く乗り物を1805年に作っていますが、やはりこちらも土を掘る用途に向けて作られた機械であり自動車とは少し違うものでした。ちなみにEvansは最終的に人が乗って移動する装置を作ろうとしていたと言われており、これがもし実現していれば世界最古の自動車会社になっていた可能性もあります。 

他には今でも自動車メーカーとして健在なフランスのプジョーを世界最古の自動車会社とする意見もあります。確かにプジョーの設立は1810年であり200年以上の歴史があります。しかし、プジョーはコーヒーミルや自転車などを製造していた会社がずっと後になってから自動車の生産にも参入したという例であり、自動車を作っていなかった期間を含めて会社が200年以上前に既にあったということで最古の自動車会社とするには無理があるように思います。

 

自動車専業の会社

では最初から自動車を製造するために作られた会社を調べてみましょう

イギリスのRichard Trevithickという人物が1803年に作ったLondon Steam Carriageという会社が蒸気機関で動く馬車のような姿をした乗り物を製作し、これは今の自動車と同じ目的を果たす機械でした。実際に試験走行も行われて乗客を乗せて時速9マイルのスピードで10マイルの距離を走りきりました。まさに自動車の原型と言えそうな乗り物です。

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Trevithickの蒸気自動車

しかし残念ながらこの車両は実験を行っただけで終わってしまい商業的には立ち上がりませんでした。今回は最初に実験した人物ではなく、最初の会社がどこなのか突き詰めていきましょう。

 

商業的な成功までたどり着いた例としては、Summers and Olgeという会社が1831年イギリス南部のタイタニックが出港した街として知られるサウサンプトンで製造した蒸気機関で動く自動車があります。この車両はその年に2台が製作され乗客を乗せた運行も始めました。翌年にはサウサンプトンから遠く離れたロンドンやバーミンガム、リバプールにも行くことができたといいます。

まさに世界最古の自動車会社かと思われましたが、彼らよりも先に成功した人がいたのです。

 

最古の自動車会社

世界最古の自動車会社は、イギリスで1825年に設立されたGurney Steam Carriage Companyという事になるでしょう。

会社設立の翌1826年に製作された蒸気機関で動く乗り物は6人が乗れる客室に加えて外にも15人が乗れる設計です。蒸気機関は12馬力があり車重は1.5トンにもなりました。日本の高度経済成長期に大衆車だったスバル360が16馬力でしたので、蒸気機関の性能は初期の大衆車レベルであったといえます。一方重量1.5トンは100馬力を超える現代のミニバン程度の重さであり、12馬力で動かすには相当な重さですが、重さも現代の自動車に近かったことが分かります。

他には現代の自動車と同じくブレーキとバックギアがあり、蒸気機関から生まれる熱を使って暖を取ることも可能でした。長さは20フィートつまり約6メートルです。トヨタの大型4WDのランドクルーザーが全長5メートルなので、現代の大型乗用車のような大きさだったことが分かります。

まさに人が移動するために設計された車両であり、機能や大きさなども現代の車に通じるものだったのです。

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Gurney Steam Carriage Companyの蒸気自動車

また、この車両はそのまま改良を続けられ1830年にはCharles Danceという人物が車両の購入契約を交わしました。これが世界で初めて自動車会社が顧客に対して車を販売した瞬間ということになります。

ちなみにDanceは、購入した蒸気自動車を使ってイギリスのロンドンとブライトンを結ぶ定期運行などを行いました。つまり現代のバス会社の様なビジネスを始めたわけです。

 

 

さて、現在の自動車産業は100年に一度の変革期と言われており、トヨタの豊田社長も生きるか死ぬかの瀬戸際と表現しています。実際に世界で最初の自動車会社は後から出てきた他のメーカーにとって代わられてしまい、その名前も誰も覚えてはいません。現在の日本には世界的な自動車メーカーがいくつもありますが、数十年後、これらのメーカーは果たして生き残っているでしょうか。

 

 

 

 

Reference;

Autoweek:https://www.autoweek.com/car-life/classic-cars/a30416075/what-was-the-very-first-car-company-its-complicated/

Grace's guide:https://www.gracesguide.co.uk/Summers_and_Ogle

80対20の法則と5/25のルールを使って効率よく仕事を片付けるのはどうだろう

インターネットや読書で学んだ内容で、人生や仕事で役に立ちそうと思ったことを書き留めておいたメモが結構な量になっていることに気がつきました。

折角なので、改めてメモを読み返して思った事などをブログに残そうかと思います。

 

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80対20の法則

今回は、10年以上前に始めたメモのかなり最初の方に出てくる80対20の法則について触れたいと思います。提唱者であるイタリアの経済学者の名前をとってパレートの法則ともいうようです。

よく分かりませんが、おそらく結構有名な法則でもう知っているという人も多いと思います。パレート自身がイタリアにおいて全体の80%もの土地がたった20%の人によって所有されているという事実をきっかけに色々調べてみると、実は他の様々な事も同じように80対20の比率になっている事に気がついたという内容です。例えば、お店の売り上げの80%はたった20%のお得意さんからもたらされるといった感じです。

 

もちろんこれはニュートン力学みたいに自然界がそうなっているという法則ではありませんから例外もたくさんありますが、この法則は普段の生活にも非常に有効だと思います。例えば何でもいいですが会社で何かの企画書をまとめる仕事を任されたとしてみましょう。法則によれば企画書の重要っぽいところから始めて20%の時間が経った時には既にその企画書は80%ぐらいの完成度になっているわけです。ではそこからさらに4倍の時間をかけて既に80%の完成度のものを100%に持っていく必要があるでしょうか。

まあ仕事ですからどうしてもそれが必要な場合もあるでしょうが、意外と会社の仕事は80%の完成度でOKになったりすることは多いものです。

それはなぜか。私なりの解釈は、会社全体もまた80対20の法則で回っているからだと思います。こんなことを言うと怒られそうですが極端な話、会社内にある80%の仕事は何がどうなろうと大勢にはそれほど影響はないのです。なぜなら全体の80%の量を占めているその仕事は全体の結果の20%にしか影響していないからです。その20%相当にしか当たらない仕事の完成度を80%から100%に持っていっても全体でいえば4%の結果にしかなりません。その時間を使って別の仕事4つを完成度0%から80%に持っていく方が賢明というものです。

もちろんクオリティが求められる場面はありますから何でもかんでも80%の完成度で止めてしまうのも問題ですが、抱えている仕事全てがそのような仕事だということはまずないでしょう。

 

5/25ルール

また似たような法則で伝説的投資家ウォーレン バフェット氏の5/25のルールというものもあります。

バフェット氏はある日、専属パイロットへのアドバイスとして人生で達成したいこと25個をリストにして、中でも特に重要な5個を選ぶように言います。バフェット氏のアドバイスはこのリストに上がった重要な5個はフォーカスするべき事、リストの6番目以下の内容は努力を最小限に抑えるべき事の一覧である、というものでした。

この5/25ルールも25個のうち5個、つまり全体の20%が本当に重要であり残り80%にまで本気で手を出すべきではないと言っています。

 

 

世の中には要領のいい人というのがいますが、そういった人たちはたとえ無意識だったとしてもこの原理に沿って仕事を処理しているのではないでしょうか。

これらの法則を知らなかったという方はぜひ活用してみるのはいかがでしょう。

 

 

 

なぜ海外のマンホールは蒸気が出ているのか

映画に出てくる海外のシーンで、街のマンホールから蒸気が出ているのを見たことはないでしょうか。日本でも東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントエリアに湯気が出るマンホールがありますが、これも海外のマンホールを再現したものだそうです。

それにしても、この湯気はいったい何なんでしょうか。

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日本であれば地面から湯気が出てくるのは温泉だったりしますが、例えばアメリカのニューヨークシティのマンホールから湯気が出ているのが温泉だとは考えづらいです。しかし、温泉のように暖かい水が地面の下を通っているというのは実は正解に近いのです。

 

スチームヒーティング

ニューヨークでは1880年代にニューヨークスチームカンパニーという会社が巨大なボイラーで蒸気を作り、それを地下のパイプを通して街に送るというビジネスを始めます。ちょうど、発電所で電気を作って電線を通して街に送ったり、浄水場から水道管で水を送るのと同じことを、蒸気でやったのです。

この蒸気は暖房の熱源として使われます。それ以前は、暖炉や石炭ストーブを使って暖をとるのが一般的でしたが蒸気を使った暖房という選択が可能になったのです。

この仕組みは特に鋼鉄やエレベータが発明されて高層ビルの建設が可能になるとさらに歓迎されました。

1930年代に建設が開始されたエンパイヤステートビルなどの高層ビルでは、仮に自前の暖房設備を作ってビル全体を暖めるようとすると、とてつもなく巨大な石炭ボイラーが必要になりビルの内部にそのような設備を置くのは現実的ではありませんでした。蒸気をどこか別の場所で作りパイプを通して送ってもらうことで、ビルの設計の自由度が確保されたのです。

こうして地下のパイプを通じて蒸気を送るシステムは歓迎され、今ではニューヨーク全体で全長100マイル(160km)もの長さになっているのです。

 

ところで、100年以上前に作られたこのパイプは今メンテナンスが問題になっています。

ニューヨークでは、雨漏りする場所にバケツを置くかのように、高温の蒸気が漏れる場所に煙突が立てられていることがあります。

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ということで、なぜ海外の街ではマンホールから湯気が出ているのか。

それは、高温になっている地下の蒸気パイプに雨水が当たり水蒸気になったり、そもそもパイプから直接蒸気が漏れていたりするからなのです。

歴史を振り返ると、街には水道が通り、ガス、電気、電話、インターネット回線が張り巡らされるなど新しいインフラが次々に追加されていっています。最近は水素を社会インフラにするという話もありますので、次は水素の供給ラインが整備されるという事になるのでしょうか。マンホールの下の世界は今後もどんどん姿が変わっていきそうです。

 

 

 

Reference;

Cheddar news : https://cheddar.com/media/why-steam-pours-from-new-york-city-streets

Free tours by foot : https://freetoursbyfoot.com/steam-from-streets-in-new-york/

なぜ中年は不幸で年寄りは幸せなのか

関節痛、筋力低下、老眼、物忘れ。歳をとることは身体の衰えであり、ネガティブな事として捉えている人が多いのではないでしょうか。ティーンエイジャーは早く大人になりたいと思っているでしょうが、早く80歳になりたいとは思わないでしょう。アンチエイジングが巨大なビジネスになっているのも納得です。

歳をとることは人生の下り坂を転げ落ちることなのでしょうか。

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人は歳をとることで確かに身体能力が徐々に衰えるとしても、心の方はどうでしょうか。歳をとることで心が衰えるなどということがあり得るでしょうか。

調べてみたところ、さまざまな研究によりどんなことで幸せを感じるかは年齢とともに変わることが分かっているようです。

 

モチベーションの変化

例えばYouGovが行った調査によれば、18-24歳の人たちは人生の目標だったりお金が自身のモチベーションであると答えた人の割合が、60歳以上の人たちに比べて2倍以上にもなるといいます。

人生の目標については若者の44%がモチベーションであると答えたのに対してお年寄りは21%しか該当しないといいます。またお金は同様に26%に対して9%、となっており若年層と老年層のモチベーションの源に大きな差が見て取れます。

また、周囲の人の情熱が自身のモチベーションになると答えた人も18-24歳の人たちが28%だったのに対して29-39歳は22%となり60歳以上になると15%と、こちらも年齢とともに徐々にモチベーションではなくなっていくことがわかります。

またこのように年齢と共にモチベーション要因から外れていくものもあれば、反対に影響がどんどん大きくなるものもあります。

例えば、恋人や夫婦などパートナーをモチベーションの源としてあげたのは8-24歳が25%だったのに対して60歳以上の人たちでは43%にものぼります。また、同じく家族がモチベーションだと答えた人の割合も同様に36%から46%へと上がっているのです。

このようにどんなことからモチベーションを得るかは年齢とともに変わっていくことが分かります、ではこれらモチベーション要因の変化は幸福にはどの様に関わってくるのでしょうか。

 

幸福度の変化

アメリカのNPOであるFamilies and Work Instituteの研究のよると、人々は35歳前後になると会社での競争や昇進のために仕事に全力で打ち込むといった野心が無くなり始めるといいます。 この他様々な研究が人生の幸せは18歳頃と82歳頃にピークとなり、その反対に46歳頃には人生で最も不幸な谷を迎えるという結果を発表しています。

この人生の幸せのピークが若年と老年にやってきて中年が不幸のどん底であるというアルファベットのUの字のような人生のパターンは、Uベンド(U-bend)と呼ばれています。

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若い頃には将来の可能性が無限に広がっており特にこれといった責任も負っていませんから幸せを感じ易いでしょう。また老年になれば人生の経験から賢くなり他人の評価なども気にならなくなるでしょう。さらに子育ての責任などからも解放されます。これがUベンドの理由だといわれています。

別の研究では、幸福感だけではなく人々の心配も人生を通して同じようにUの字のパターンを辿るとされています。

20代を通して人々は心配事が一定ですが、30歳になったあたりから中年になるまで心配事がどんどん増え始めて、その後さらに歳をとると再び減少し始めるというのです。老年になれば一般的に若い頃よりも貯金や持ち家があるなど資産があるものですし、日常の小さな問題から人生の大きな問題まで対処の方法も知恵が働くものです。仮に不運なことがあっても若い頃よりは簡単に受け入れるようになっているでしょう。そのため一定の年齢を過ぎれば心配する事はどんどん減るのでしょう。

 

 

 

こうして考えると確かに人は年齢と共に身体能力は衰えるのかもしれませんが、さまざまな研究が幸せのピークはむしろ人生の後半にやって来ることを示唆しています。

今、自分の人生がどんどん不幸になっていると感じている20,30,40代の方は幸せのピークがこれからやって来ると思えれば、少しは人生に希望が持てるのではないでしょうか。

 

 

 

Reference;

YouGov:https://yougov.co.uk/news/2018/07/05/how-your-motivations-change-you-get-older/

The Atrantic:https://www.theatlantic.com/health/archive/2013/05/how-happiness-changes-with-age/

Forbes:https://www.forbes.com/sites/work-in-progress/2014/07/16/why-youre-losing-ambition-as-you-age/#2daff681f730

冤罪もある。指紋で個人を特定できる確率。

スマートフォンのアンロックや犯罪捜査など個人を特定するのに使われる指紋ですが、なぜ指紋で人が見分けられるのでしょうか。
過去に生きていた人、今生きている人、そして将来生まれる人まで含めて同じ指紋を持っている人はいないと考えられています。そして、人の指紋のパターンは母親のお腹の中にいる時から死ぬまで一生変わらないのです。そのため指紋とはその人だけが持っている身体的特徴で、指紋を見れば人違いが起こらないという理屈が成り立ちます。
しかし、本当に同じ指紋を持つ人はいないのでしょうか。

指紋判定


指紋はお腹の中にいるときに作られる

指紋は、胎児の時に指が形作られるのと一緒に現れます。
大きく分けて渦巻、輪、橋の形をした3つの基本パターンがあり、これらはDNAによって決まるため双子は指紋の基本パターンが同じになります。しかしDNAだけでは指紋の完全な形は決まらずに、その他の要素も指紋の形に影響します。
例えば胎児の時の血管や皮膚、指の成長スピードによって形が影響を受けますし、羊水の圧力や母親のお腹の中でどちらを向いていたかによって重力のかかり方が変わり指紋の形が変わるという研究結果さえあります。

指紋

このように、様々な影響が指紋の形に影響を与えるため、全く同じ形の指紋はまず形作られないというのが基本的な考え方です。

さらに細かく指紋を見てみると、線が途中で途切れていたり、分岐していたり、点になっていたり特徴的な場所が見つかります。
一般的にはこのような特徴的な場所は一つの指に約50箇所あります。しかも、この50箇所の特徴的な指紋は人によって指の上の違う位置にあるのです。
単純に50箇所が行き止まりか分岐になる組み合わせだけ考えても数学的に1000兆通り以上ありますし、さらに場所の違いを考慮するとその組み合わせは、2,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000通りにもなります。人間はこんなにたくさんいませんから、数学的に同じ指紋の人はいないという結論になります。

 

指紋が一致する確率は

さて、同じ指紋を持つ人はいないことが分かりました。それでも指紋を見て他人と間違える可能性は無いのでしょうか。
例えば顔の似ている芸能人の区別がつかないなんて話は日常茶飯事です。犯罪捜査で犯人を特定する際に、指紋の専門家でも判定を間違える可能性は無いのでしょうか。

実際、指紋判定に頼りすぎて犯人を誤認した事例というのは起こっています。
アメリカ合衆国オレゴン州の弁護士ブランドン・メイフィールド氏が、2004年にスペインのマドリッドで起きた列車爆破事件の犯人としてFBIに逮捕されましたが、のちに別人だったことがわかっています。爆破現場に残っていた指紋が、自身がイスラム教徒でもありタリバンに参加しようとした人物の弁護士をしたこともあるメイフィード氏の指紋と一致したというのがFBIの見解でしたが、彼はパスポートを持っておらずスペインに渡航するのは不可能でした。
しかし最も驚くべきなのは、メイフィールド氏が依頼した第三者による指紋鑑定でも現場の指紋とメイフィールド氏の指紋は一致するという判定が出たことです。FBIとメイフィールド氏にそれぞれ依頼された別の指紋鑑定士が同じ間違いをしたという事になります。

やはり、顔を見て人違いをするように指紋による人違いも起こり得るという事です。

 

 

さて、指紋判定の正確さを調査した研究によると、犯罪捜査に使われる指紋判定が間違える確率は0.1%とされています。犯罪現場に残った指紋と一致する指紋を持っていると判定される1000人のうち1人は全くの別人と間違えられているのです。

たとえ指紋が世界に一つその人だけのものだとしても、それを見る専門家やコンピュータソフトウェアなどが別人の指紋と勘違いする可能性があることは頭の中に入れておく必要があります。

 

 

 

 

 

Reference:

なぜ先進国は涼しい地域にあるのか

豊かな国と聞いてイメージするのはどういった国でしょうか。現在GDP世界一位の国はアメリカで第二位は中国ですが、そういった国よりもスイスやスウェーデンなどの一人当たりのGDPが高い国をイメージする方も多いのではないでしょうか。逆に貧しい国と聞いたら、中央アフリカや南スーダンなど政治的に安定しておらず、天然資源もなく産業も発展していないような国々をイメージすると思います。
ここで気がつくのは、ほかの豊かな国々や貧しい国々を想像してみても豊かな国は気候が涼しい地域にあり貧しい国は暑い地域にあるということです。実際に世界地図を見てみると赤道付近にはほぼ豊かな国はなく、先進国はみな気候の涼しい地域に位置していることがわかります。
実は世界的にみれば平均気温が1度上がる毎にその国の一人当たりのGDPは762ドルも下がるという暑い地域ほど貧しくなる関係性があることがわかっています。
 

各国の一人当たりのGDP

 

ちなみに、一つの国の中でも寒い地域の方が豊かで暑い場所は貧しいということは起こっています。
例えば、オーストラリアで最も豊かな都市はシドニーとメルボルンですが、この2都市はオーストラリア大陸の南に位置した涼しい地域にあります。反対にオーストラリアで最も貧しいのは北端にあるダーウィンで、砂漠地帯を除けば国内では最も暑い場所にあります。
しかし考えてみればこれは少し不思議で、地理的に言えばオーストラリアの北側にあるダーウィンの方が日本、中国、マレーシア、インドネシアなどに近いため本来は貿易上有利なのです。また鉱物など天然資源も周辺で採掘できるため決して不毛の地ではないのですが、不思議なことにオーストラリアで一番貧しい都市は一番暑い場所にあるのです。
 
気温以外の要因
もちろん全てが気温だけで決まるわけではありません。例えば、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦などは気温が高い地域にありますが非常に豊かです。この場合理由は当然石油など天然資源の豊かさにあります。
天然資源の他にもその国の豊かさを決定する要因としては国内のインフラや政治的安定性なども強く関係することが知られています。このように様々な要素を考えると、その国の気温による豊さへの影響は実際には9%程度とされているのです。
その為に寒い地域にあっても北朝鮮のように豊かでない国も当然あります。気温による影響は統計的には9%ですからその他91%の影響により、涼しい地域に位置していても貧しくなることもあるわけです。
 
 
 
歴史的には立場は逆だった
ところが歴史を見てみると古代では暖かい国と寒い国は立場が全く逆だったことがわかります。エジプトやメソポタミア、マヤなど豊かな文明は暑い地域にあったのです。この当時寒い地域は不毛の地でした。
なぜ現代では、暑い地域が貧しくなり寒い地域が豊かになったのでしょうか。
古代では食糧をたくさん作れることが豊かさを決めていました。太古の昔には人口の全てが一日中食料を確保することに時間を使っていましたが、食料が豊富にあれば人口の中から食料確保に時間を使わない学者や官僚の役割を負う者が現れて技術の発展や効率的な組織運営を行い国が豊かになったのです。その為必然的に農業がしやすく食糧を大量に確保できる暖かい地域が有利だったのです。ところが、現代の国や都市の豊かさに畑の広さはほぼ関係ありません。現代では豊かさはテクノロジーに大きく依存しています。世界で最初に超大国となったイギリスは、蒸気機関という当時の最先端技術によって世界一豊かになったのです。これに続いたアメリカも電気や自動車という当時の最先端技術をいち早く取り入れた国でした。このような変化が起きた際に豊かさの中心が暖かい地域から涼しい地域に移ったのです。
 
寒い地域が有利なのは
では、なぜ寒い地域の方が有利なのでしょうか。
例えば、冬のスウェーデンで生き残るためには、どのくらいの資源を今使ってどのくらいを冬のために残すかなど計画的に行動する必要があります。そして、新しい道具や技術が発明されたらそれをどんどん取り入れることで生存確率を上げられたのです。また人々は協力をしないと生き残れません。こうした生活を以前からずっと続けてきた寒い地域の人々の方が、計画的に協力しながら最新のテクノロジーやイノベーションを取り入れてどんどん豊かになっているという理由づけが広くなされています。

スウェーデンの首都ストックホルム
つまり少し違った見方をすれば、最新のテクノロジーやイノベーションを取り入れれば気候に関係なく豊かになれる可能性が十分にあるということです。シンガポールは非常に暑い地域にありますが、上記の理由で豊かになったのです。
 
 
さて現在進行中の技術革命は人工知能やロボット、バイオテクノロジーなどです。
幸いなことに日本はいくつかの分野で世界のトップ集団に残れる可能性がまだなくなっていません。日本が今後数十年にわたって引き続き豊かな国であり続けるか先頭集団から取り残されて貧しい国になってしまうのかは、これら最先端科学技術分野で成功できるかどうかが勝負の分かれ目になるでしょう。
 
 

 

 
 
Reference;
Economics Explained:https://youtu.be/lmrra8i4hZY

なぜアメリカのパトカーはフォードばかりなのか

アメリカのパトカーといえば、海外のニュース映像で派手なカーチェイスを繰り広げたり映画やドラマにも出てくる遠いようで意外と身近な存在です。
そんなアメリカのパトカーですが、実に2/3がフォード製だといいます。一般車両ではGMに次ぐ2位のフォードはなぜ警察車両では圧倒的なシェア1位なのでしょうか。

インターセプター

フォード インターセプター ユーティリティ パトロールカー
 
フォードのパトカーの中でも今一番売れているのは、アメリカで累計販売台数第一位のSUVであるエクスプローラーをベースとした警察仕様のインターセプターユーティリティという車種で、なんとパトカー全体の50%がこのモデルだといいます。
近年のSUV人気は世界的な流れとなっており一部のメーカーはセダンの生産から完全撤退もしていますが、警察車両においても同じようにSUV人気が顕著になっています。
そもそも警察はパトカーに限らずいろいろな車両を持っておりその中には軍事仕様の車両までもが含まれますが、警察の所有する車両の大半はインターセプターユーティリティと同様に市販車を警察の利用形態に沿って改造した車両です。
 
パトカーの歴史 
アメリカ最古のパトカーは、1899年にコリンズバギー社によって作られた電気自動車でした。パトロールカーならぬパトロールワゴンと呼ばれていたこの車両は12人まで囚人を乗せられるように設計されていました。1900年の暴動で略奪されて運河に落とされましたが、修復されて1905年まで使用されたといいます。

コリンズバギー

コリンズバギーのパトロールワゴン
現代と同じ流れを汲む最初の警察仕様の車両は、1951年製のフォード インターセプターでした。この車両のヒットでフォードは警察向け車両のシェアで58%を獲得します。
しかし、常にフォードが業界をリードしていたわけではありません。1969年から1985年にかけてはクライスラーのプリマスやダッジのパトカーがベストセラーでした。そのあとを追ったのが、1983年に登場したフォードのクラウンヴィクトリア インターセプターです。その後もGMからシボレー カプリスの警察車両が登場。スポーツカーのコルベットからエンジンを流用して搭載していることが受けて、1986年から1996年までベストセラーでした。
 
パトカーのSUV化
その後はセダンが主流だったパトカーもSUVへと移行していきます。
アメリカのセダンは燃費が悪く一回り小さい日系メーカーのセダンに販売で押されてしまい、最終的にアメリカのセダンも小型になっていきます。ところがパトカーはコンピュータなどの電子装備が重装備化していき、小さなセダンではスペース的に問題が出てきました。
一方SUVは、車の背が高いためどうしても物理的に重心が高くなってしまいます。その分過酷な運転条件では車両が横転してしまうリスクが高く、高速での追跡や緊急走行が求められるパトカーには向いていないとされてきました。

クラウンヴィクトリア

クラウンヴィクトリア インターセプター

[Mister Falcon / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]

それでもトヨタのRAV4やホンダのCR-V、そしてフォードのエクスプローラーといった車種に代表されるように乗用車のように扱えるSUVが登場したことに加えて、標準仕様よりも車高を下げてサスペンションを硬めの設定にするなどの改造をすることで、 SUVのパトカーが実現しました。
この流れを上手く取り込むことに成功したパトカーが、フォードのインターセプターユーティリティだったのです。
さらに近年は燃費の重要性も増しています。フォードの試算ではハイブリッド版のインターセプターユーティリティは一台あたり年間3500から5700ドルの節約が可能とされており、ニューヨーク市警は10,000台ある車両を全てハイブリッド化する予定と発表しています。この点も燃費に優れるインターセプターユーティリティに強みがあります。
こうしてフォードは、アメリカのパトカー市場でシェア1位を獲得したのです。
 
 
さて、日本のタクシーも日産はミニバンベースであり、トヨタの最新モデルJPNタクシーもミニバンに近いフォルムのスライドドア仕様になっておりセダンはどんどん数が減っています。日本の警察車両もセダンが消えてしまう日がいつかやって来るのでしょうか。
 
 
 
Reference;

世界的富豪ですら。なぜケチなお金持ちと気前のいいお金持ちがいるのか

不思議なものでお金持ちと言われる人たちには、気前よくチャリティーを行ったりして貧しい人に財産を分け与える人がいるかと思えば、そういったことを一切行わない人もいてケチなどと呼ばれたりしています。

 
例えば、長らく世界一のお金持ちだったマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が2018年に行った寄付の額は、なんと2500億円以上にもなります。彼は紛れもなく太っ腹なお金持ちでしょう。
一方で、2020年現在そのビル・ゲイツ氏よりもさらにお金持ちで世界一の富豪であるアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が同じ年に行った寄付は、130億円ほどでした。もちろん一般人の金銭感覚からすれば十分すぎるほどの金額を寄付していますが、ビル・ゲイツ氏が20倍も多く寄付をしていることを考えるとなんだか少ない気もします。
 
しかし理由を調べてみると、決してジェフ・ベゾス氏がケチだという話ではないことが分かってきます。実はお金持ちも本当の意味で金銭的な自由がある人たちと実はそうでもない人たちに分けられるのです。

マイクロソフト

 

 

大富豪
先述のビル・ゲイツ氏ですが、彼はご存知の通りマイクロソフトという会社を立ち上げて大きくしたことで財産を築きあげた人物です。ところがマイクロソフトのCEOなど要職を退いた現在の彼の資産はほとんどマイクロソフトとは関係がなくなっています。現在彼の財産はCascade investmentという個人資産管理会社に置かれており、ビル・ゲイツ氏はこの個人会社を通して主に上場企業の株式を資産として保有しているのです。
資産は複数の投資先に分散しているので、もはやマイクロソフトの業績も気にする必要がありません。巨額の富を自由に動かせる、本当の意味での大富豪といえるでしょう。
 
 
中富豪
アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は状況が少し異なります。帳簿の上ではビル・ゲイツ氏よりもお金持ちですが、彼の資産の大半はCEOを務めるアマゾンドットコムの株式なのです。仮に巨額のお金が必要になった場合には持っているアマゾンの株式を一度市場で売却して現金化するということをしなければいけません。事実ベゾス氏はブルーオリジンという宇宙開発企業の資金を用意するためにアマゾンの株式を売却して資金を確保したこともあります。しかしそもそもアマゾンの株式を持っているというのが彼がお金持ちである理由ですから、アマゾン株の大量売却はいつでも使える手段ではありません。そのため世界一の富豪であるジェフ・ベゾス氏は実はビル・ゲイツ氏に比べれば自由にお金を用意できないのです。
そして何より、極端なケースで考えれば仮にアマゾンが倒産すれば株式の価値はなくなり、彼はお金持ちではなくなってしまいます。これがビル・ゲイツ氏との違いです。先述の通りビル・ゲイツ氏は多くの異なる会社に資産を投資をしており、マイクロソフトという一つの会社には頼っていませんので資産が一瞬で紙切れになるリスクが少ないのです。
もちろん現実にはジェフ・ベゾス氏がお金に困るとは思えません。彼は世界一の富豪です。しかし、ビル・ゲイツ氏の方が富豪としては格上であることがわかります。このことが寄付の額にも影響しているはずです。
 
 
小富豪
さらに微妙な立場の富豪もいます。インターネットの登場により若くしてベンチャー企業を立ち上げて20代で億万長者になるような人物も現れている現代ですが、多くの場合そういった会社はまだ上場していません。そのベンチャー企業がどんなに急成長していて将来性があり会社の時価総額がどんなに巨額であっても、創業者である億万長者は証券取引所で簡単に会社の株を売ることはできないのです。これはアマゾンのような上場している企業の創業者に比べて圧倒的に不利になります。巨額の現金が必要になっても株を売るという手段は取りづらいことになります。
また、この手のベンチャー企業は成長することに全力を傾けて赤字で経営されていることが多いです。このような状況の会社は創業者もほぼ給料なしで働いていることも珍しくありません。将来会社が大成功した際にストックオプションなどで一気にリターンが得られるというやり方です。
では彼らは本当に我々がイメージするお金持ちなのでしょうか。帳簿の上では巨額の資産を保有していますが、それを使って豪邸やスーパーカーを買うことはできないのです。
 

お金

 
 
こうしてみるとお金持ちというのは帳簿上の金額の大小だけではなく、その中身が重要ということがよくわかります。
派手な生活をしている未上場のベンチャー社長よりも、地方でビルや駐車場を経営している社長さんの方が気前よく多額の寄付をするだけの余裕があるかもしれません。しかしそれはケチかどうかではなく、本当の意味で自分で使い道を決められるお金がどれだけあるのかにかかっているのです。
 
 

 

 
 
Reference;
Economics Explained:https://youtu.be/0MeRN7LE1LQ

なぜ人間だけ歯磨きが必要なのか

夜、眠くて眠くてしょうがない時にふと歯を磨いていないことを思い出して、渋々歯磨きをしに洗面所へ。歯を磨くと眠気が飛んでしまってしばらく眠れない。なんて経験はないでしょうか。
それにしても、人間はなぜ歯を磨かなければいけないのでしょうか。
動物園にいる動物たちは歯磨きをしているものもいるようですが、基本的に人間以外は歯磨きをしていません。
 
人類が最初に歯ブラシを使い始めたのは、紀元前3000年の古代バビロニアや古代エジプトにまで遡るそうです。彼らは小枝を使って、歯を掃除していたようです。
紀元前1600年には古代中国でも同様に木の枝を使って、まるで現代人がガムを噛むかのように息をフレッシュにするということを行っていたようです。

歯ブラシ

では、それ以前の人類は一体どうやって歯の健康を保っていたのでしょうか。答えを探ると意外なことに、実は古代人は歯磨きをしていなかったのですが、歯の健康は問題にならなかったといいます。
 
 
食べている物が違う
古代人は現代人と違って、当たり前ですがファーストフードやインスタント食品などは食べていません。彼らが食べていたのは全てが自然の食べ物でした。そのため歯を強くする栄養素を豊富に摂取していたのです。現代で虫歯が発生する理由の一つとしては、ミネラルやビタミンの摂取が不足するということが挙げられますが、当時の食生活ではミネラルやビタミンが不足するという事は稀でした。
また、自然界の食べ物には大量の食物繊維が含まれています。そのため、少し不思議な気もしますが食べるという行為によって歯が綺麗になるという効果もあったのです。
また、現代の食生活ではファーストフードの影響で炭水化物を大量に摂取していますが、当時の食生活では炭水化物は少なく肉であったり木の実であったり炭水化物以外の食べ物が中心でした。炭水化物は口の中を酸性にする作用があるため、これも現代の食生活が虫歯を作ってしまう原因の一つです。
歴史学者のユバル・ハラリ氏は著書の中で、現代では火薬よりも砂糖の方が多くの人の命を奪っていると述べていますが、砂糖も理由の一つです。現代人が食べているものには大量の砂糖が含まれているのは有名です。また飲み物も忘れてはいけません。炭酸はミネラルを分解してしまう作用があります。炭酸水で歯が溶けるという都市伝説もありますが、先述の通りミネラルが不足すると虫歯の原因になってしまうため、炭酸で歯が直接溶けなかったとしても、ミネラルが分解されてしまうのはあまり良い事とは言えません。もちろん現代の飲み物には砂糖も大量に含まれています。

ファーストフード

という事で、基本的には食べている物が違うために現代人は歯磨きをしないと歯を守れないということになってしまったわけです。
 
 
動物が歯磨き不要な理由
冒頭の疑問であった、動物はなぜ歯磨きが不要なのかという点も食べ物という視点で同じ説明が可能です。
自然界の食べ物を食べている野生の動物は歯磨きが不要ですが、プロセスフードなどを食べている動物園の動物は歯磨きが必要になるのです。
 
 
ただし、動物の場合は他にもいくつか歯を磨かなくて良い理由があります。
例えば、サメは硬い物を食べたりしてすぐ歯がダメになるので、新しい歯が生えてくるようになっていますので虫歯の心配がいりません。
犬科の生き物は、唾液のPh値が高くなっており、口の中が酸性になりにくいようになっています。
牛は一日中食べた草をずっと噛んでおり、これが食物繊維を使った歯磨きのような効果を生んでいます。肉食獣は肉だけでなく骨もかじっており、これも一種の歯磨きのようなものです。毛繕いをする動物については、毛が口の中に入りこれも歯磨きのような効果が見込めます。
象は牙を木に擦り付ける習性がありますし、ワニの歯の隙間にある食べ残しは、あとで鳥が寄ってきて食べていきます。
 
 
このように自然界はよく出来ていて、いろいろな理由で歯磨きは不要なのです。つくづく自然界の偉大さを思い知らされる話です。
自然から離れた場所で暮らしているペットは、あげる食べ物を注意してやる必要がありそうです。
 
 
 

 

 
Reference;

イギリス対フランスの戦いだった? なぜ左側通行と右側通行の国があるのか

近年、日本では輸入車の販売が好調というニュースがよく伝えられています。
日本自動車輸入組合の統計によると、日本メーカーが海外工場から輸入した車を除いた、いわゆる外車の販売は2017年に過去最高の30万台を記録して以降2018年も30万台を記録、消費税が上がった2019年の輸入台数も前年比ほぼ横ばいの29万8千台を記録したそうです。
ちなみに、ヨーロッパ各国の自動車販売台数は、スウェーデンが36万台、オーストリア33万台、スイス31万台、チェコ25万台、デンマーク23万台となっており、日本では欧州中堅国と同程度の台数の外車が販売されていることになります。また、日本では輸入車のうち半数の約15万台が400万円以上の高価格帯車だといいますから、海外メーカーにとって大きくはないものの無視もできない市場となっています。先日もプジョーシトロエングループ傘下のオペルが日本市場への再参入を表明していました。
 
さて、そんな外車と聞いて思い浮かぶのはハンドルの位置ではないでしょうか。
日本では車の右側にハンドルが付いていますが、海外の多くの車は左側にハンドルが付いています。

左ハンドル

 

 

右ハンドルと左ハンドル
現在世界の約3分の1の人々が日本と同じ右ハンドルの車で左側通行をしています。日本以外の国としては、イギリスとかつてその植民地だった、オーストラリア、ニュージーランド、インド、南アフリカなどに加えて、インドネシアやタイなどの国です。そして、それ以外の3分の2にあたるアメリカ、中国、ヨーロッパ諸国などが左ハンドルの車で右側通行をしているのです。
ところが、車が発明される遥か前には世界中で日本やイギリスと同じ左側通行の方が一般的だったのです。
 
 
 
人々がまだ馬に乗って移動していた時代
自転車でもバイクでもそうですが、世の中の大半を占める右利きの人にとって馬の左側で乗り降りする方が容易です。そして日本のタクシーをイメージすると分かり易いですが、乗り物の左側で乗り降りが行われる場合は左側通行の方が適していることがわかります。もし右側通行で乗り物の左側から乗り降りを行うと道の真ん中に向かって乗り降りすることになり非常に不自然です。
それに加えて、例えばヨーロッパの騎士をイメージすると、右利きの騎士は体の左側にソードなどの武器を携えているので、右側通行だと道でのすれ違い様に相手に武器が当たるということが起こり得ます。日本のサムライでも同様ですが、これは絶対に避けなければいけない事態だったはずです。
そのため人々が馬を使って移動していた時代には、世界中で日本と同じ左側通行の方が一般的でした。
 
 
幌馬車の影響
最初に変化が訪れたのは、1700年代のことです。
アメリカでコネストーガ幌馬車という巨大な馬車が使われるようになりますが、この乗り物は馬車の側に人が乗るスペースはなく、幌馬車を引く6頭のうち左後方にいる馬に直接乗って馬車を操るというものでした。右利きの人にとって鞭を打つのにもっとも良いのがその位置に乗ることだったからです。
そしてこのコネストーガ幌馬車の場合は、逆に右側通行の方が都合がよかったのです。今でも車でバックする際に運転席のドアを開けて後ろを直接見る人がいますが、幌馬車で直接目視できるのは馬車の左側です。そのため、巨大なコネストーガ幌馬車が向かいから来る馬車と接触せずに通過することを目視で確認するために右側通行が好まれました。

コネストーガ幌馬車

左後方の馬に乗って操るコネストーガ幌馬車
 
左側通行と右側通行
同時期のヨーロッパでは、フランスでナポレオンが左利きだったため右側通行を好んだという説やフランス革命で自由を得た民衆が従来と逆の右側通行をはじめたなど理由は定かではありませんが、フランスから右側通行が広がっていきます。ナポレオンがヨーロッパで勢力を広げた際に、このフランス式の右側通行が多くの国で強制されました。これによってベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、スイス、ドイツ、ポーランド、そして、イタリアとスペインの大半の地域は右側通行となりました。しかしナポレオンに対抗していたイギリス、ポルトガル、オーストリア=ハンガリー帝国は左側通行を維持したため、それ以降100年以上にわたってヨーロッパは右側通行と左側通行が混在することとなったのです。
世界のその他の地域も、このイギリス対フランスという帝国同士の対決の様相を見せます。先述の通りイギリスの植民地は左側通行を取り入れ、フランスの植民地は右側通行となりました。インドはイギリスの植民地のため左側通行となりましたが、フランスが支配していたゴアについては右側通行でした。カナダでは、イギリス側のブリティッシュコロンビアが左側通行なのに対して、フランス側のケベックは右側通行でした。
インドネシアは、オランダの植民地となった際に左側通行となりました。これはオランダがフランスの右側通行を取り入れる前の出来事です。
日本は、イギリスにもフランスにも植民地支配は受けませんでしたが、イギリスの影響を強く受けました。日本は鉄道の技術をイギリスから輸入したため、路面電車が左側通行だったのです。その後、1924年に法律で左側通行が明記されています。
 
ところが1920年代以降は、左側通行の国が右側通行に切り替える例が相次ぎます。
カナダ全土がアメリカに合わせて右側通行になったのをはじめとして、ポルトガルも右側通行に切り替えます。スペインでは、左側通行を続けていたマドリッドが右側通行に切り替わり、イタリアでもローマ、ミラノが右側通行となり、これらの国は右側通行に統一されました。
1930年代にはオーストリアがナチスドイツの侵攻により、一夜にして右側通行への切り替えを命じられ大混乱の中で右側通行の国となりました。チェコスロバキアとハンガリーもドイツの侵攻により同じ道を歩みます。
 
ヨーロッパ大陸で最後に残った左側通行の国がスウェーデンでした。
右側通行の隣国ノルウェー、フィンランドと無数の小道で繋がっているスウェーデンは、1967年に右側通行への切り替えを行い、ついにヨーロッパ大陸は右側通行で統一されました。これにより今でも左側通行を続けているヨーロッパの国は、島国であるイギリス、アイルランド、マルタ、キプロスのみになったのです。

スウェーデン

スウェーデンで右側通行に切り替えた日の様子
 
右側通行が勢力を広げた理由として忘れてはならないのは、アメリカの自動車メーカーであるフォードの存在です。
ヘンリーフォードが世界で初めて大量生産した大衆車という乗り物は、車の左側に運転席があり右側通行で使うのに適した設計でした。アメリカで生まれた大衆車の恩恵に預かるためには、右側通行を取り入れるのが得策でした。

フォード

フォードの左ハンドル車

 

さて、こうして世界には左側通行の国と右側通行の国が残りましたが、現在左側通行を続けている国の多くは、日本をはじめ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど周りを海に囲まれた国々です。ヨーロッパで最後に切替を行ったスウェーデンは、隣国と道がつながっているという理由があったため、巨額の税金を投入して右側通行への切り替えを行いましたが、周りを海に囲まれている国の場合には巨額の費用を投入するだけの理由も見当たりません。世界は今後も右側通行と左側通行に分かれて統一される気配は全くありません。
 
 
 

 

 
Reference;

なぜWi-Fi ルーターには周波数が2つ用意してあるのか

かつてビル ゲイツ氏がCEOだった時代のマイクロソフトは、「全てのデスクと全ての家庭に1台のコンピュータを。」という目標を会社のミッションとして掲げていました。21世紀になった今ではパソコンに限らず、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、スマートTV、スマートスピーカーなどコンピュータは様々な形になって一人一台以上所有していることも珍しくなくなってしまいました。そしてそれらのデジタル機器はほぼ間違いなくインターネットに代表されるネットワークに接続する機能を持っています。
そんなネットワーク接続を飛躍的に便利にしたのが無線接続、特に家庭でのWi-Fi接続でしょう。家庭にインターネットを引いている場合には、Wi-Fiルーターを使って家庭で複数のデジタル機器を無線でインターネット接続できるようにしている方が多いのではないでしょうか。

Wi-Fi

最近ではWi-Fiルーターも購入して箱から出したらLANケーブルを挿すだけで使えるようになっており、どういった仕組みなのか分からない方も多いのではないでしょうか。しかし仕組みを分からずに使っていて一番もったいないのは接続する周波数帯の選択だと思います。
WI-Fiルーターにおける無線周波数帯とはどういったものなのでしょうか。
 
 
WI-Fiの周波数
よほど古いWi-Fiルーターでなければ、無線接続する周波数帯を選べるようになっているのが一般的です。外箱にデュアルバンドと書かれていたり、2.4GHzと5GHzなどと書かれているかもしれません。また最近ではこの二つの周波数帯が使えるのは当たり前過ぎて、特に何も書かれていない可能性もあります。
 
Wi-Fiの基本原理はラジオや携帯電話と同じで、電波を使った信号のやりとりです。電波にコンピュータが認識できる0や1を設定して離れた場所にデータを届けます。ここで無線周波数が高いというのは、0や1のやり取りをより高速で行なっているということになります。つまり、周波数が高い方が通信がより速いということです。
 
では、2.4GHzと5GHzを選べるWi-Fiルーターはなぜ通信速度が遅い2.4GHzの周波数帯での無線接続を用意しているのでしょうか。

波

 
2つのWi-Fi周波数帯の違い
第一に、周波数毎の特性の違いというのがあります。
物理の授業で習う波の性質の通り、周波数の低い2.4GHzの方が5GHzよりも遠くまで届くのです。5GHzは広い家だとルーターから離れた部屋には電波が届かないかもしれません。5GHzは壁など遮蔽物の影響も強く受けます。廊下を曲がった先には電波が届いていないかもしれません。
5GHzでの通信にはこのような欠点がありますが、条件が良ければ5GHzの方が2.4GHzよりも理論上は2倍通信速度が速い事になります。
 
二つ目の違いがチャンネルというものです。
2.4GHzのWi-Fi通信にはお互いに干渉しないチャンネルが3つしか用意されていないのに対して、5GHzの通信には23チャンネルあります。その為5GHzの方がたくさんのデバイスを問題無く同時接続出来るのです。
 
2.4GHzはWi-Fi通信以外でも使われているという問題もあります。電子レンジやワイヤレス電話子機、無線モニターなども2.4GHzの電波を使っているので、そのノイズによって電波が0なのか1なのか分からなくなりWi-Fi通信が止まる事があります。電子レンジを使うと家のWi-Fiが止まるという方もいるのではないでしょうか。そしてもちろん近所の家がWi-Fiを使っていればそれも同じようにノイズなります。
 
 

電子レンジ

電子レンジからは2.4GHz帯に強力なノイズが発せられる
 
 
最後に忘れてはならないのが、Wi-Fiルーターだけではなくデジタル機器側も当然使う周波数に対応している必要があるという点です。
古いデジタル機器だと2.4GHzにだけ対応しているかもしれません。また、IoT機器などで電池を交換出来ない使い捨てのものはパワーをセーブするために5GHzには対応していない事も多いです。
逆に高画質の動画を楽しむスマートTVやゲーム機は高速通信が可能な5GHzに対応しているはずです。
 
 
実際のインターネット接続スピードは、もちろん家に引かれているインターネットのスピードによりますが、以上を踏まえた上でルーターの位置や使う周波数帯を選んでみるとインターネットがより快適に使えるかもしれません。
 
 
 

 

 
Reference;
 
 
 

なぜヨーロッパには高層ビルが少ないのか

都市部において高層ビルの建設ラッシュが続く日本ですが、不動産情報会社のEmporisは高さ100mを超えるビルの数を世界の都市毎にランキングしています。
ランキングを見てみると圧倒的世界1位は香港で1400棟以上の高層ビルがあり、2位ニューヨークの倍近い数です。以下3位が香港のすぐ北に位置する中国の深セン、4位東京、5位シンガポールと続きます。
 

香港の高層ビル

高層ビルが乱立する香港
 
 
ここでランキングを見て気がつくのは、なんとヨーロッパの都市はトップ100の中にモスクワとロンドン、フランクフルトの3都市しかランクインしていないということです。
トップ100の内訳を見ると実に60以上の都市がアジアであり高層ビルの多さが際立ちます。
例えばどちらも人口約250万人であるイギリス第二の都市バーミンガムは北朝鮮の平壌よりも高層ビルが少ないのです。
 
北米もアジアに負けていません、人口が40万人にも満たないハワイのホノルルには、人口900万人近いロンドンよりも多くの高層ビルがあります。
また、アメリカのシカゴは人口270万人に対して300棟、カナダのトロントは人口260万人に対して250棟の高層ビルがあり、人口あたりの高層ビル数が世界一多い都市になっています。一方ヨーロッパでほぼ人口が同じ規模であるイタリアのローマには高層ビルは4棟しかなく、市内の宮殿7箇所、寺院8箇所よりも高層ビルの数は少ないのです。
ローマのような大都市における高層ビルの少なさに代表されるように、ヨーロッパの高層ビルはイギリスのロンドン、ドイツのフランクフルト、フランスのパリの3都市に集中しています。
 
なぜヨーロッパには高層ビルが少ないのでしょうか。

ローマ

ローマ

 

高層ビルが少ない理由
理由の一つは、都市の歴史の長さです。ヨーロッパの都市の多くは19世紀にシカゴで鉄骨を使った世界最初の高層ビルが建設されるはるか前にすでに完成されており、街の中心に新たに高層ビルを建設するスペースがなかったのです。
また、アメリカに比べてヨーロッパの都市は広い範囲に均等に広がっており、当時のシカゴやニューヨークのように狭い地域にフロアを何層も重ねた建物を建設する必要性もあまりありませんでした。
それに加えて、新しい技術を取り入れて徐々に大国になっていったアメリカに対して伝統的な考え方が根強いヨーロッパは高層ビルを受け入れなかったという側面も指摘されています。
 
しかし、これらは高層ビル登場初期の話です。100年以上経過した今もなぜヨーロッパには高層ビルが少ないのでしょうか。
 
一つの転機は第二次世界大戦です。大戦で破壊されたヨーロッパの都市はアメリカのように高層ビルを使って再構築されるという見方がありました。しかし、ランドマークが破壊されてしまったヨーロッパの都市は、新しいものを建てるのではなく、戦争で失われた建物を再建するという道を選びます。
またヨーロッパの都市の人口は比較的少なく、ここでもまた高層ビルを建設する必要性が薄かったのです。
 
もう一つの理由が、ベルギーのブリュッセルで始まった建築規制です。1960年代にブリュッセル市内で歴史的景観などを無視した無機質な箱型の建物が立ち始めると、行政は規制を導入して大きな建物の建設を禁止し新しい建物にも歴史的な装飾などを施さなければいけなくなりました。こうした規制はヨーロッパに広がり高層ビルが建てられなくなったり、高層ビルがあってもパリのLa DefenceやロンドンのCanary Wharfなどのようにシティセンターから離れた地区に集中的に建てられることとなりました。
 

ロンドン

ロンドンのユニークな高層ビル (© User:Colin and Kim Hansen / Wikimedia Commons)
21世期に入ると建築技術の発展から箱型ではなくユニークな型をした高層ビルが建築可能になったことや、ロンドンなどの金融都市でオフィス需要が高まったために高層ビルが次々に建設されています。世界の人口はますます都市に流入しているため、こうした国際都市を中心にヨーロッパでも高層ビルは今後も増え続けることになるでしょう。
 
 
 
 

 

 
 
Reference;
 

駐車場の探し方 目の前の駐車場に入るべきかもう一つ先まで行くべきか

行楽シーズンになると車でお出かけされる方も多いでしょう。最近はスマホのナビアプリなどもかなり便利になり、初めて車で行く場所でも迷わずにたどり着くことができるようになりました。それでも厄介な問題としていまだにドライバーたちを悩ませているのが駐車場問題です。
コインパーキングが空いているのが目に入ったけれども、もっと目的地に近い駐車場があると思って走り続けたら結局満車で駐車できなかったなどという経験はないでしょうか。
また駐車場に入れても、施設の入り口から遠くに停めることになったと思ったら実は入り口近くに駐車スペースが空いていて損をした気になったり、駐車場にまつわるストレスは沢山あります。
 
では、少しでも駐車スペースを賢く探す方法はないものでしょうか。

パーキング

コインパーキングを探す
まず、目的地に駐車場がなくコインパーキングを探すようなケースではどうするのが良いでしょうか。
駐車場を探す時間がもったいないと考えて、たとえ多少歩くことになっても最初に見つけた駐車スペースに車を停めるのがいいのでしょうか。それとも、駐車スペースが結局見つからずに時間を無駄にするというリスクを犯してでも、目的地に少しでも近い駐車場を探してから車を停めるべきなのでしょうか。
 
コインパーキングなどの駐車場を探す方法としては、以下の3通りの作戦が考えられます。
 
1、最初に見つけた駐車場に車を停める
2、最初の駐車場には停めずに目的地までもう少し近づいてみる
3、目的地まで一気に行ってしまって空いている駐車場を探しながら戻っていく
 
 
作戦1は、駐車場を探すという事をしないので、とにかく探すという無駄な時間がかかりません。しかし、目的地からは多少遠いはずですからそこから歩いて目的地に向かうという無駄は発生します。
作戦2は、目的地により近い場所に車を停めるので歩く時間が短くなります。しかし、もしも駐車場が見つからなければ、また時間をかけて来た道を戻って結局目的地から遠い駐車場に車を止めなければいけないかもしれません。
作成3は、もし目的地のすぐ近くに駐車することが出来れば最も時間のロスが少なく済みます。しかし、こちらももし駐車場がなければ多くの距離を走って結局遠くの駐車場に止めることになりかねません。
 
 
数学的には、作戦1のように最初に見つけた駐車スペースにすぐに車を停めてしまうのは、最善とはいえないことが分かっています。多くの場合、目的地のもっと近くに駐車スペースが空いている確率が高いからです。タイムズに代表されるようなコインパーキングも常に満車では客離れが起こるため、常時駐車スペースが1、2台分空くように駐車料金やパーキングロット数などを調整するようです。
 
では、より目的地に近い駐車場を目指す作戦2と作戦3ではどちらが良い作戦でしょうか。作戦3では必ず目的地から遠ざかるという行為が発生するのに対して、作戦2は駐車スペースがうまく見つかれば必ずしも目的地から遠ざかるという行為は発生しないので、平均的には作戦2が最も効率的と考えられます。もちろん、作戦3は目的地に最も近い場所を確認した上で駐車できるのに対して、作戦2はもっと近い場所にまだ駐車スペースが空いているかもしれないという思いが残る中で駐車することになるので、心理的な弊害はあります。実際に歩いて目的地に向かう途中で空いている駐車スペースを見つけて残念な思いに駆られることもあるでしょう。
 
自身の性格に応じて駐車場探しの作戦を変えるのがいいかもしれません。
 

駐車場


 
 駐車場内のスペース探し
では次に、大型ショッピングモールのように駐車場が目的地に隣接している場合はどうでしょうか。この場合も、駐車場の中のどこに車を停めるかという問題があります。
店舗の入り口から明らかに遠い場所でもすぐに停めてしまうのがいいのでしょうか。それとも、駐車スペースが空いていないリスクを犯しても店舗の入り口近くに向かうべきでしょうか。
 
こちらも空きスペースを探す上でいくつかの作戦が考えられます。
 
まずは、とにかく駐車スペースを探すという時間を省くために、あえて店舗の入り口から遠くに直行するという方法が考えられますが、あまり効率的な方法とは思えません。一方で多くの人が行っているのが、駐車場を一列ずつ移動していき一番近く空いているスペースが見つかったらそこに停めるというやり方でしょう。
しかし、駐車スペースを探す方法としては他にもいくつかやり方が考えられます。
 
まずは、コンピュータが情報の検索をより高速に行うために考えられた手法を真似して、列を飛ばして探すという方法があります。店舗の入り口に一番近い列を探して空きがなければ、次の列を飛ばして3列目に向かいそこにもスペースがなければ2列飛ばして6列目に向かうというやり方です。非常に混雑している駐車場では一列ずつ探すよりもこの方が早くスペースが見つかるかもしれません。
 
他には、駐車場に入場したらあえて店舗入り口と反対方向にすぐに向かい、そこからどんどん店舗の入り口の方向に向かって行くという方法です。だんだん駐車スペースが埋まっていきこれ以上先に行くともう駐車スペースが空いていなさそうだと思ったところで駐車します。駐車スペースを探している車の隊列に混じってノロノロと一列ずつ空きスペースを探すよりも効率的に良い駐車スペースに停められるかもしれません。
 
最後に、逆転の発想で駐車スペースを探すのをやめて待つという作戦も場合によっては有効かもしれません。仮に店舗に一番近い列に12台分の駐車スペースがあり満車だとします。店の形態にもよりますが平均1時間で買い物を終えるような店舗であれば、数学的には12台の車は5分に1台ずつ出ていくことが期待できますから、5分待てばそこに車を停められることになります。下手に離れた第2駐車場などに移動するよりも待った方が早いかもしれません。
 
 
 
さて、もちろん駐車場は待機するのが禁止だったり進行方向などが決められていますからここで紹介した方法が使えないこともありますが、駐車場の状況に合わせて空きスペース探しの方法を変えてみるのも賢い選択肢といえるでしょう。
 
 

 

 
Reference;

車の修理内容トップ10 電気自動車は維持費が安いのか

現在、世界中の自動車会社が競うように開発を進めている電気自動車ですが、メリットとしてよくアピールされているのが維持費の安さです。アメリカのテスラは特定のモデルを購入した顧客に対して自社の充電ステーションであるスーパーチャージャーの利用を無料にしていますし、日産はリーフに月額定額制で充電し放題のプランなどを用意しています。また、単純にお金を払って充電をしたとしてもガソリン代よりは安く済むため、燃費という意味での電気自動車の維持費の安さは当然魅力です。
しかし、電気自動車の維持費の安さは燃費だけに限りません。メンテナンスコストも無視できない要素です。
 

自動車 修理

 
例えば、CarMD.comが発表している車の修理項目トップ10と平均的な修理代金は以下のようになっています。
 
 
1位;排気ガスセンサー交換 (249ドル)
2位;排気ガス触媒交換 (1153ドル)
3位;点火プラグとコイル交換 (390ドル)
4位;燃料キャップ締め直しや交換 (15ドル)
5位;サーモスタット交換 (210ドル)
6位;点火コイル交換 (236ドル)
7位;吸気量センサー交換 (382ドル)
8位;点火プラグと配線交換 (331ドル)
9位;エバポレーターバルブ交換 (168ドル)
10位;エバポレーターソレノイド交換 (184ドル)
 
 
このように車の修理内容トップ10は全てエンジンか燃料タンクに関わる部品の修理で、電気自動車にはこれらの部品は付いていないわけですから、そもそも修理の必要がありません。
では、電気自動車のメンテナンスで必要になってくるのはどういった内容でしょうか。
 
 
EVのメンテナンス 
まずは、タイヤ関係です。電気自動車にも当然タイヤは付いているため、例えば、前後で偏ってすり減ってしまったタイヤを入れ替えるタイヤローテーションは電気自動車でも必要です。ちなみに、電気自動車は巨大なバッテリーによって車体重量が重くなりがちなのと電気モーターにより大きなトルクも出せるため、タイヤに対する負担はガソリン車よりも大きいといえます。
 
そして、車が止まるのに必要なブレーキ関係のメンテナンスも重要です。ブレーキフルードやブレーキパッドは電気自動車になっても引き続きメンテナンスが必要な部品です。ただ、電気自動車は減速する際にモーターで発電をする力を使って車のスピードを落とす回生ブレーキを使うように設計されているため、ブレーキ関連部品の消耗はガソリン車よりもずっと少ないはずです。
 
忘れてはならないのがクーラントです。エンジンを冷却するために使われるクーラントですが、電気自動車ではバッテリーを冷却するために使われます。ただし、実際にクーラント交換が必要になるかは微妙なところです。日産のリーフは12.5万マイル、シボレーの電気自動車BOLTに至っては15万マイルつまり24万キロ走行したらクーラントを交換するように推奨していますが、日本で24万キロも使用される車は稀でしょう。
 
そして、最後がバッテリーです。電気自動車の部品で最大にして最も高価な部品がバッテリーです。電気自動車の取扱説明書にはバッテリーに対する注意事項を記載したページがあります。バッテリーを交換することになってしまっては大変な出費になりますので、注意が必要です。
 
 
ということで、電気自動車ではエンジンや燃料タンクがなくなるため故障の原因になりやすい部品の多くが不要になることがわかります。
このままのペースでEVの車両本体価格が下がっていくと、メンテナンスコストの優位性も相まってそのうちに維持費の安い車の代名詞はガソリンの軽自動車ではなくて電気自動車という時代になるかもしれません。
 
 

 

 
 
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