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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

電気自動車はCO2排出量削減に無意味か

地球温暖化対策として注目を集める電気自動車(EV)ですが、よくある批判としてEVを充電するための電気は発電所で石油を燃やして作られるのだから、CO2の削減にはならないというものです。

確かにEVは走っている時にはCO2を出していませんが、電気を作る際にCO2は出ているわけですから当然の批判です。特に日本は実質的に原発が使えない状況のためこの意見には説得力があります。

温室効果ガス

 

では実際のところはどうなのかベルギーに本部を置くNGOであるEuropean Federation for Transport and Environmentが、車のライフサイクル全体、つまり原材料の採掘から車を組み立てて実際に使用されてから廃車されるまで、のすべての要素を含めて環境への影響を検証した研究結果を発表しています。

 

EV対ガソリン車

まず、EVは発電所で代わりにCO2を出しているだけだという意見ですが、これは想定通りで当たっているようです。

石炭や石油で発電した電気を使ってEVを充電して走らせた場合とエンジンでガソリンを燃やして車を走らせた場合とでは、1km走行当たりに排出する二酸化炭素の量はほぼ変わらないとされています。

 

石炭発電でEVを充電 : 139 - 175 [g/km]

石油発電でEVを充電 : 114 - 143 [g/km]

ガソリン車 : 143 [g/km]

 

しかしこれをもってEVはCO2削減に対して無意味だと結論付けるのはまだ早いです。

 

 

車のライフサイクル

ライフサイクル全体という意味では、車を走らせる以外にも様々な場所でCO2は排出されています。中でもCO2排出が特に多いのが以下の4つのようです。

 

1)燃料のサプライチェーン

2)燃料をエネルギーに変換

3)車体の製造、メンテナンス、リサイクル

4)エンジン、モーター、バッテリーの製造

 

ではEVはいつCO2を発生させているのかというと主には3つだけの要素でほぼ全てを占めており、一番大きいのはやはり電気の発電時で約70%のCO2が発電で排出されます。残りは約15%が車体の製造とさらに15%がバッテリーの製造からのCO2排出です。

 

しかし、EVにおいて70%のCO2排出を占めている発電には、火力、水力、原子力、太陽光、風力などいくつもの方法があってそれぞれでCO2排出量は全く違います。先ほど石油を燃やしてEVを充電しても意味がないことは分かりましたが、現実世界のように火力発電以外の色々な発電方式が混ざって作られた電気でEVを充電するとどうなるのでしょうか。

 

これは国によってかなり異なります。

例えば、原発依存率の高いフランスでは電気を発電するのにCO2の排出量が40[g/kwh]ですが石炭発電の多いポーランドでは650[g/kwh]にもなっていて、同じ量の電気を作るのでもCO2排出量が16倍も違うことがわかります。

日本は、欧州でいうと原発を廃止しているドイツとほぼ同じ水準で約400[g/kwh]程度とされています。

 

EVのCO2削減量 

これらを踏まえて、ガソリン車よりもCO2排出が少ないとされるディーゼル車と比較してEVがライフサイクル全体で排出するCO2はどうなるかというと、原発が多いフランスでは80%ものCO2が削減できることになるそうです。

そしてドイツでもディーゼル車比45%のCO2削減。日本もこのレベルにあると思われます。さらになんとフランスの16倍もCO2を出して発電をしているポーランドですらEVはディーゼル車より25%もCO2排出量は少ないといいます。

ちなみに、以前当ブログでも紹介した99%水力発電のノルウェーは、フランスよりも少ないCO2排出量16[g/kwh]で発電しているそうなので、ノルウェーのEVはディーゼル車比90%近くはCO2削減に貢献していそうです。

 

 

ということで、原発が止まって火力発電所をかなり使用している日本でも、EVは二酸化炭素排出量削減に十分意味があるようです。

 

 

 

 

 

Reference;

Transport&Environment:https://www.transportenvironment.org/publications/electric-vehicle-life-cycle-analysis-and-raw-material-availability

GlobalNote:https://www.globalnote.jp/post-8101.html