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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

なぜ耳の形はこんなに複雑なのか

人間の頭のパーツの中で、耳だけがやたらと複雑な形をしていることに疑問を持ったことはないでしょうか。目、鼻、口は、その役割から考えればある程度納得のいく形をしていますが、耳はなぜこんな形なのかすぐにはピンときません。

ところが、人体は不思議なものでこれにもちゃんと理由があるのです。

耳

 

 

 

まず耳の役割は当然音を聞くことですが、ただ聞くだけではなく音のする方向を特定できることは非常に重要です。太古の昔にはこの能力がなければ人類は自然の中で生存不可能だったでしょう。

そして、人が音の聞こえる方向を特定する方法については、昔から多くの人がいろいろな考察をしています。

そのうち一人は、流体工学のベンチュリ効果を発見した人物として知られるイタリアの物理学者ジョヴァンニ・バティスタ・ベンチュリ(Giovanni Battista Venturi)です。画期的なベンチュリ効果を発見した人物にしては単純ですが、1790年代に耳を指で塞ぐという方法で音のする方向を特定するには両耳が必要という結論に至ります。そして、左右それぞれの耳で聞こえる音量が違うために人は音のする方向を特定できると考えたのです。

その他、ノーベル賞を受賞しているイギリスの物理学者ジョン・ウィリアム・ストラット(John William Strutt)は、右耳と左耳で音が届くタイミングの微妙なズレによって音源の方向が分かると考えました。また、頭が防音壁のようになって音が吸収されるため音源と反対側にある耳には高周波が届きづらい事も判断材料になっていると考えたのです。

 

結果的に現在では人はこれら全ての情報を使って音のする方向を特定していることがわかっています。

例えば頭の左方向に音源があれば、左耳の方が右耳よりも大きな音を時間的に先に捉えるので脳は音が左方向から来ていると判断するわけです。

 

 

 

しかしここで一つの疑問が生まれます。真ん中から音が来たらどうなるのでしょう。

顔の前5メートルから音が鳴るのも頭の後5メートルから音が鳴るのも上5メートルから音が鳴るのも、左右の耳は同じ音量を同じタイミングで受け取るという意味で違いがありません。

実は、これこそ耳が複雑な形をしていることに対する答えです。

もし耳がマイクのような形だったら、確かに前から音がきても後ろから音がきても聞こえ方は同じです。ところが、耳は前後にしろ上下にしろどの方向から見ても必ず違う形になっています。これによって音が来る方向が違えば耳での音の反響の仕方が変わり、鼓膜で音をとらえる際に特定の周波数が目立つようになっているのです。そして最終的には脳が周波数の特徴から判断して音がする方向を決定するわけです。

これは誰でも家で実験して確かめることが出来ます。

耳に粘土などをつけて音の反響の仕方を変えてやればいいのです。こうすると脳は耳の形が変わっていることを知る由もなく周波数の特徴だけから判断して、音のする方向を勘違いするのです。

 

 

ところで、犬が首をかしげているのを見たことはないでしょうか。

犬

もちろん人間の言葉が分からないくて首をかしげているのではありません。

実は犬がこの仕草をする一つの理由も音のする方向の特定です。首をかしげて左右の耳の位置関係を斜めにすることで、上下左右どちらの方向から音がしているかが特定しやすくなるのです。

 

 皆さんもどこからか気になる音が聞こえてきたら、犬のように首をかしげてみてはどうでしょうか。

 

 

 

Reference;

Knowing Neurons:http://knowingneurons.com/2013/03/15/how-does-the-brain-locate-sound-sources/

Acoustics Today:http://deutsch.ucsd.edu/pdf/AT-2008_4_3.pdf

SmarterEveryDay:https://youtu.be/Oai7HUqncAA