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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

アクション映画がつまらなくなった6つの理由

YouTubeで映画レビューをしているChris Stuckmannさんのチャンネルに、現代アクション映画の問題点という動画がありました。

内容に全面的に賛成なことと彼自身がこの意見を広めて欲しいと言っているので、ざっと要点を紹介したいと思います。

youtu.be

 

 

最近のアクション映画が興行的にも内容的にも失敗している主な理由として、彼があげているのは次の6つです。

 

 

1.ストーリー

悪党が世界を滅ぼすというストーリーはいい加減みんな見飽きている。

ストーリーで成功している例はキアヌ・リーブス主演の「スピード」。バスの速度を落とすと仕掛けられた爆弾が爆発するという分かりやすい設定で、2時間の間ずっとスリル満点。主人公は一瞬たりとも気が抜けないから、観客はずっと興奮して映画を観ていられる。

同じくキアヌ主演の「マトリックス」は、アクションシーンだけではなく我々の知っている世界が仮想上にあるというストーリーでも観客を驚かせた。

「レイダース」では、ナチスが失われたアークを探していてハリソン・フォード演じるインディー・ジョーンズも同じものを追っている。この設定で主人公は常に行動し続けることになり、一瞬たりとも話が止まらない。 

もし、ストーリーが早いペースで進まないなら、アクション映画として何かが間違ってる。

 

 

2.ヒーロー

アクション映画には観客が感情移入できる主人公が不可欠。成功例は、ブルース・ウィリス主演「ダイハード」の主人公であるジョン・マクレーン。彼は奥さんとヨリを戻そうとしている男で、ただ運悪く事件に巻き込まれた人。だから本格的にストーリーが始まると彼の成功を観客みんなが願う。

ジョン・マクレーンは、ダイハード1から4まで愛すべきバカ野郎だった。それがダイハード5では通行人を殴るような、ただのバカ野郎になっている。人を気遣う警官というヒーローを失ってダイハード5は大失敗だった。

 

 

3.ヴィラン

映画は悪役の良さ以上には良くならない。そして素晴らしい悪役はヒーローの対極にあるが一点だけつながりを持っている。

成功例は「ターミネーター2」のT1000。アーノルド・シュワルツェネッガー演じるT800と同じターミネーターだが、液体金属でできたT1000の方が力が上。だからヒーローに本気で立ちはだかる存在になる。

もう一つ重要なことはモチベーションが理解できるということ。ただ単にお金が欲しいとかではダメ。「007 カジノロワイヤル」の悪役ルシーフは、投資に失敗して組織に命を狙われているからどんな事をしてでもお金が必要なのが理解できる。悪役であっても人間性が見えるということ。イスに座って猫を撫でてる謎の組織のボスではない。

究極の悪役であるスターウォーズのダースベイダー。彼もルークとの接点やどうして彼がダースベイダーになったのかという点で人間性がある。

 

 

4.スタント

スタントなしのアクション映画など考えられない。

ここでキャスティングは非常に重要。

好例はトム・クルーズ。「ミッションインポッシブル」のスタントで高評価を得て以降徐々にスケールアップして、もはやアメリカのジャッキー・チェンになった。「ゴーストプロトコル」では実際に彼自身が世界一の高層ビルであるブルジュ・ハリファで宙吊りになって撮影している。実際にトム自身がやっているから観客も手に汗握る。

もちろん危険なことをするだけが全てではない。

ハリソン・フォードキアヌ・リーブスは、体の動きを使った演技であるフィジカルアクティングが上手い。カット割りなどでごまかす必要がないので観客はストレスなくアクションを楽しめる。

 

 

5.カメラワーク

カメラワークの問題点は、シェイキーカムと言われる画面がコンスタントに揺れる撮影手法でこれが何故か流行っている。ゆらゆら揺れてはっきり見えない映像に音響を入れて、安易に何かが起こっているかの様に見せかける騙し手法。多くは役者がアクションシーンに対応できないことを隠すために使っている。

「ボーンアルティメイタム」が成功したのはシェイキーカムをなにかを隠すために使っていないから。マット・デイモンや他の役者が相当な訓練を積んでいるし、編集が絶妙。「マトリックス」や「ジョンウィック」なども、ワイドショットで何が起こってるか観客にはっきり見せている。

ただし、役者が訓練しすぎるのには危険性もある。特定の動きを訓練し過ぎてダンスの様になってしまうことがある。

スターウォーズエピソード3でのユアン・マクレガーヘイデン・クリステンセンライトセーバーバトルは美しすぎて危険な戦いには見えない。

 

 

6.ヒーローの弱さ

良いアクション映画の条件として最も重要なこと。

例えば、スカーレット・ヨハンソン主演の「ルーシー」。映画は見ごたえがあるが、主人公が覚醒して以降は誰も彼女に太刀打ち出来ないのでアクションシーンに何の緊張感も生まれない。

ヒーローが生き残れるかどうか分からない、というのが必要。

マトリックス」と「マトリックス リローデッド」はいい比較になる。「マトリックス」ではバトルシーンはリアルで主人公ネオは血を吐き本当に勝てるのか観客は疑いはじめる。「リローデッド」では、ネオは無敵の存在で人形みたいなエージェントスミスを次々と吹き飛ばし何の危険も感じない。

 

では「レイダース」のトラックシーンはなぜ完璧なのか。

インディージョーンズは腕を撃たれて、悪役の兵隊にトラックから落とされそうになる。劇中でヒーローが最も弱っているシーン。素晴らしいアクション映画には必ずと言っていいほどこうした主人公が危険にさらされるシーンがある。だからその後で主人公が状況を好転させて悪役をやっつけると観客はスッキリする。

インディージョーンズ最後の聖戦」にも「魔宮の伝説」にもこういったシーンがあるが、「クリスタルスカルの王国」には全く無い。だから「インディージョーンズ4」は成功できなかった。

 

 

 

 

いかがでしょう。

もちろん映画はアートでありエンターテインメントでありビジネスでもあるので、内容をどう捉えようと人の勝手です。正解も不正解もありません。この中で悪い例としてあげられた映画が好きな人もいるでしょう。それで全く問題はありません。

しかし、ここにあげられた6つのポイントはかなり的を得ていると思います。

 

客層が近いジャンルとしてアメコミヒーロー映画が近年絶好調ですが、伝統的なアクション映画の復活も是非期待したいところです。