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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

空飛ぶクルマではなく地下トンネルこそ未来の交通手段になるか

これまで馬、蒸気機関、車、飛行機といった新しい交通手段を獲得するたびに人々の生活は大きく変わってきました。

そしてまた一つ、未来の交通手段がもうすぐ現実のものになろうとしています。

 

 

空飛ぶタクシー計画

ライドシェアリングサービスのUber。創業者トラヴィス・カラニック氏の辞任や個人情報流出を金銭で解決しようとしていた事実がリークしたり、ソフトバンクによる出資など話題がつきませんが、本業で注目すべきなのはNASAと提携して進めている空飛ぶタクシー計画であるUber Airでしょう。Uberは既にUber Elevateという空飛ぶタクシー計画を発表していましたが、NASAとの提携でさらに計画実現に一歩近づいた印象です。

Uberが進める空飛ぶタクシー計画は、eVTOLと呼ばれる電動の垂直離着陸機でビルの屋上などから空港へ、空を飛んで短時間で移動するというものです。

既にテキサス州ダラスとアラブ首長国連邦のドバイで2020年までにテスト飛行を行うと発表していましたが、NASAとの提携に合わせてロサンゼルスも計画に加わりました。

youtu.be

 

コンセプト映像の通りになるとすれば、近未来SF映画で見た世界がもうすぐそこまで来ているわけですね。

ところが未来の交通手段について、ある人物は別の見方をしているようです。

 

 

地下トンネル網計画

未来の交通手段は空飛ぶタクシーではないと主張している人物がイーロン・マスク氏です。オンライン決済サービスであるペイパルの前身にあたる会社を立ち上げ、電気自動車のテスラや民間ロケット会社スペースXなどを率いる実業家ですが、大学時代の専攻は物理学であり今でも多くのプロジェクトでは彼自身がチーフエンジニアを務めているほど正真正銘科学技術に精通している実業家です。

そんなマスク氏が、新たに立ち上げた会社がトンネル掘削会社でその名もボーリングカンパニー(Boring company)。

ボーリングとは、掘削技術でもありますが英語の「退屈な」という意味もあるので、ボーリングカンパニーとは掘削会社とも取れるし退屈な会社とも取れます。どうやらこの会社は実業というよりは趣味に近いようです。

彼がボーリングカンパニーで取り組もうとしている未来の移動手段も、コンセプト映像として公開されています。

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基本的なコンセプトは、地下に立体的にトンネルを掘って、そこをスケートボードのようなものに乗った車が移動するというものです。

公道とトンネルはエレベーターで結ばれ、トンネル内では時速200kmほどで移動することを想定しているそうです。

 

空飛ぶクルマの問題点

なぜ地下トンネルでの移動網を構想しているのか、彼は空飛ぶタクシーの問題を以下のように指摘しています。

 

基本的に地上よりも地下の方がスペースがある。実際世界一深い鉱山は、世界一高いビルよりも背が高い。

空飛ぶクルマは騒音が大きい。

飛行するために生じる風が強い。

何より、頭の上を無数のクルマが飛んでいたら不安でしょうがない。

 

 

特に最後にマスク氏が指摘する通り安全性は問題でしょう。以前当ブログでも紹介した70年代ニューヨークにあったヘリコプターシャトル便の例も、パンナムビルの屋上からJFK空港まで渋滞を避けて空を飛ぶUber Airと全く同じコンセプトでした。ところがある日事故で死傷者が出て、ニューヨーク上空は飛行禁止になってしまったのです。

空飛ぶタクシーはまず安全性を証明できなければ、無数の機体が人々の頭上を飛び交う商用サービスを開始するのは難しいでしょう。

 

地下トンネル網の実現性

しかし一方で、地下に穴を掘るのは巨額の費用が必要ではないのか、という疑問が湧きます。今でも地下鉄や自動車用トンネルの工事には巨額の費用がかかっていて巨大な交通ネットワークを地下に構築するというのはあまり経済的とは思えません。

 

この点に関してはイーロン・マスク氏自身も、例えばロサンゼルスで地下鉄を1マイル延長するには約100万ドルかかっていて、しかもこれは世界一高い例ではないとしてトンネルを掘る費用は課題であると考えているようです。また地下トンネル網の実現には、費用を10分の1程度にする必要があると認めています。 

そこでマスク氏は、どうやって費用を10分の1にするか以下のような道筋を立てているそうです。

まず、トンネルの大きさは車が乗るスケートが通れるだけの大きさにして、通常のトンネルより直径を半分かそれ以下にする。つまり断面積を4分の1以下にするといいます。また、現状のトンネル工事は、地面を掘ってはそこに壁を作るという手順を繰り返して掘削を進めており、この二つを同時進行できるような掘削機を作れば2倍の効率になるとしています。ここまでで、トンネルの断面積4分の1に掘削効率2倍で、理論上の掘削費用は8分の1になっています。さらに、トンネル掘削機自体の効率も今より上げられるはずとして、10分の1達成の手段を説明しています。

このように、イーロン・マスク氏の突拍子もない計画は、たいてい物理的にギリギリ可能であるところが興味深い点です。荒唐無稽に思える計画も必ずフューチャリストの未来予想とは一線を画しています。

未来

 

さて、近未来SF映画でも基本的に移動手段は空を飛ぶ乗り物であって、地下のトンネル網を移動するという描写はそれほど見かけません。

現実にやってくる近未来の移動手段は、空飛ぶクルマと地下トンネルのどちらになるのでしょうか。今後も両社の計画から目が離せません。

 

 

 

 

 

Reference;

TED:https://youtu.be/zIwLWfaAg-8