I found this

サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

映画アルマゲドンは現実的なのか。地球に衝突する巨大隕石を止める方法

恐竜絶滅の原因として有力視されているのが巨大隕石の衝突ですが、映画「アルマゲドン」や「ディープインパクト」などでは隕石が地球に衝突して人類が滅亡するという話が描かれています。

実際に、地球に巨大隕石が衝突したらどうなるのでしょう。

バリンジャークレーター

アメリカ合衆国アリゾナ州のバリンジャークレーター

 

 

隕石の衝突事例

1908年、ロシアのツングースカに落ちた隕石は記録に残っているものでは最大の大きさで、隕石の直径は推定60から190メートルもあったと考えられており、そのエネルギーは凄まじく周囲2000平方キロメートルもの広範囲で木をなぎ倒したとされます。この時は、シベリアの奥地で人が全く住んでいないエリアだったため死傷者などの被害は出ていません。

 

1954年、正確な記録が残っている人に対する隕石による最初の被害が起こります。アメリカのアラバマ州に住むアン・ホッジスさんが家で昼寝をしていたところ、家の屋根を突き破って体に3グラムの隕石が衝突し打撲を負ったのです。幸いホッジスさんは怪我を負ったものの無事で、この事故は当時世界中でニュースになったと言います。

 

2013年にはロシアのチェリャビンスクで、歴史上初めて隕石による大規模被害が起こっています。この時の隕石は、地球に衝突する前に燃えながら太陽よりも明るく輝き100キロ離れた場所からでも見えたと言います。サイズは直径20メートル程度と推定されます。被害としては、7000棟の建物の窓ガラスなどの破損と1500人以上のケガ人を出しました。

 

しかし問題は、誰もこの隕石が地球に衝突することを事前に発見できていなかったことです。映画のように、事前に地球に衝突する小惑星を発見して勇敢な宇宙飛行士たちが地球を救うというストーリーは現実にはありえないのでしょうか。

 

 

宇宙を監視する組織

実はNASAには、Planetary Defence Coordination Officeという、意訳すると地球防衛部とでも言いましょうか、地球に接近する小惑星を監視する専門の部署が2016年に開設されています。NASA単独では限界があるので世界中の宇宙関連機関と連携して地球周辺を監視し、もし地球に衝突する可能性のある小惑星が見つかれば地球への衝突を回避するのが役割です。 

仮に隕石の直径が100m以上、つまりサッカーコートほどあれば地球に衝突した際の破壊力は核爆弾級になります。現在このサイズの小惑星が地球の周辺に数千はあるとみられています。NASAは1998年以来こうした小惑星のカタログを作ってそれぞれの軌道を監視しています。現在は、地球が太陽の周りを回る軌道と重なっている小惑星で、直径が1kmを超えるものについて90%以上が監視されており、新しい小惑星が見つかれば軌道を計算して地球に衝突する可能性があるかどうかを判断します。

危険度はトリノスケール(Torino scale)という0から10までの数字で表されます。0は問題なし。反対に最高の10になると、衝突はほぼ確実で地球規模の気候変動により人類の存亡に関わるというものです。

トリノスケール

トリノスケール

 

ちなみにこれまで最高に危険だった小惑星でもトリノスケールで4です。2029年に地球に衝突するとされたこの小惑星も、その後の継続的な監視から地球への衝突の可能性はないことがわかりました。

 

では、地球に衝突することが確実な小惑星が見つかったらそれをどうやって阻止するのでしょうか。

 

 

小惑星の止め方

山ほどの大きさがあり弾丸並みのスピードで地球に向かってくる小惑星を止めるのは現実的ではありません。現実的なのは軌道をそらすことです。

地球は、秒速30キロメートルで太陽の周りを回っています。宇宙のある一点で見ると、地球は7分でその場からいなくなるのです。巨大小惑星の地球への衝突を回避するには、接近を7分遅らせるか早めれば十分ということになります。衝突の十年以上前なら軌道を数センチずらせれば十分衝突を回避できるのです。

 

実際に小惑星の軌道を修正する方法としてすぐに思いつくのは映画でもよく使われる核爆弾です。「アルマゲドン」でも「ディープインパクト」でも人類は核爆弾で小惑星の衝突を阻止しようとします。

他には、宇宙船か人工衛星を当てるということも検討されており、実際にNASAは2005年にディープインパクト計画として地球の軌道と関係のない小惑星で衝突実験を行ったことがあり、有力な方法として検討されていることがわかります。

ディープインパクト計画

ディープインパクト計画で小惑星の軌道が修正された様子

 

 

しかし、小惑星は必ずしも硬い物質でできているとは限りません。衝撃が吸収されてしまうことも考えられます。

 

そこで、映画にはまず登場しないのが次のような方法です。

一つ目は、宇宙船か人工衛星を小惑星の近くで飛行させるというものです。どういう仕組みかというと、質量のあるものが小惑星の近くにあればお互いの引力で軌道が変わるというわけです。この方法で小惑星の軌道を変えるには数年か場合によっては数十年かかるかもしれません。映画で使うには地味すぎる方法です。

Gravity tractor

 

他には、小惑星を白く塗るか黒く塗るという方法も考えられています。白く塗れば太陽の光を反射し、黒く塗れば吸収します。これにより太陽光の力で軌道を修正するというアイデアです。

 

 

さて、派手な方法から地味な方法まで巨大隕石の地球への衝突を回避する方法がいろいろあるのはいいことですが、そもそも衝突した場合に核爆弾級の破壊力を持つ小惑星が実はいつ落ちてくるかわからないというのは何とも恐ろしい気がします。

つい映画の影響でそういった小惑星は衝突前にわかるものだと思いがちですが、まだまだ人類は宇宙に比べればちっぽけな存在であることを思い知らされます。

 

 

 

 

Reference;

The good stuff:https://youtu.be/L6db5cMabbE

Vox:https://youtu.be/EZSCtgfmEO0