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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

リチウムイオン電池の次はどんな次世代電池になるのか

現代の生活に欠かせない存在となったスマートフォンや日本の主要産業である自動車業界に押し寄せるEV化の波。さらにはドローンやスマートウォッチなど現在から将来にかけて身の回りのあらゆる物のエネルギー源になるであろう技術がバッテリーです。

しかし電気自動車は航続距離の短さが指摘されていますし、スマートウォッチはほぼ毎日充電する必要があるのが欠点です。これらの問題を解決するには、バッテリーの進化が欠かせません。

 

バッテリーの性能問題はかなり歴史が長く、1914年のニューヨークタイムズの記事で自動車王ヘンリー・フォードは、1年ほどしたら電気自動車の製造を始められるだろうとし、実験車両は製作済みで成功は間違いないが、課題はトーマス・エジソンが取り組んでいる長距離走行に耐える軽いバッテリーの完成だ、と話していたそうです。

結果はご存知の通り、フォードとエジソンが20世紀初頭に取り組んでいた電気自動車のバッテリー問題はその後100年経った今でも完全には解決していません。

 

では将来的にどの程度までバッテリー技術は進化するのでしょうか。

 

 

軽くてたくさん使える電池

今、世界が求めているのは、たくさんの電気エネルギーを小さくて軽いバッテリーから取り出すことですから、重さあたりどれくらいエネルギーを蓄えられるかで性能は判断できます。

この指標で大まかに言えば現状でも1990年代に比べて2倍程度のエネルギーを同じ重さのバッテリーから取り出せるようになっているようです。

 

例えば、21世紀に間に合いましたといって発売されたトヨタの初代プリウスに使われていたニッケル水素電池の重さあたりのエネルギー密度は70[Wh/kg]と言われていましたが、100%バッテリーだけで駆動する電気自動車の先駆け、初代日産リーフに使われたリチウムイオン電池は150[Wh/kg]を超えていました。そしてパナソニックとテスラがアメリカのネバダ州に建設したギガファクトリーと呼ばれる工場で共同生産している最新のリチウムイオン電池は、300[Wh/kg]近くに達しているとも言われています。

 

ではこの進歩はずっと続くのかというともちろん物理的な限界はあります。

現在のリチウムイオン電池の構造であれば、理論限界が500[wh/kg]代後半と考えられるので限界は近づきつつあります。

 

 

未来の電池

限界が近いリチウムイオン電池の次に考えられるのは一体どんなバッテリーなのでしょうか。

まずバッテリーの基本原理ですが、一言で言ってしまえば電子を欲しがっている物質と電子を手放したがっている物質を導線でつないで、両者の間で電子を移動させるという仕組みです。電子の移動とは電流のことですから、これでEVやスマホが動かせます。ですから、次世代電池も電子を欲しがっている物質と手放したがっている物質から良さそうなものを選ぶしかありません。

 

ここで、中学校で習う元素の周期表を見てみましょう。昔の頭の良い人が考えた周期表というものは、元素の性質が似ているものが表にキレイに並ぶように出来ています。次世代電池のヒントもここから見えてきます。

Periodic table

周期表は左上から元素が軽い順番に書かれているので、できるだけ上の方にあるものを使えば軽くできます。そして電子を欲しがっている元素は、表の左側の方に。手放したがっている元素は右の方に書かれています。

ということで左側からは全元素中3番目に軽く金属では最も軽いLi(リチウム)が候補に上がります。また、周期表で一つ下のNa(ナトリウム)も、特性としてはリチウムに負けますが海水から取れるため安く量産化するという意味では注目される物質です。

右側はというと、一番右の列は電子をあげたくもないし欲しくもない安定した元素ですのでそれらを除くとF(フッ素)やO(酸素)が理想的ということになります。

 

では、これらを使うとどの程度バッテリーは進化するのでしょうか。

まずは、周期表上で限界となる端と端にいるLi(リチウム)とF(フッ素)ですが、反応が激しくロケット燃料にも使われる組み合わせで、バッテリーとしての実現性は低いようです。それでも理論的には6000[Wh/kg]というエネルギー密度が可能なようです。

他の組み合わせは、リチウム空気電池(Li-O2)です。Li(リチウム)とO(酸素)という周期表上のほぼ両端にある物質同士で理論的な限界に近い組み合わせです。この組み合わせで理論上は約2700[Wh/kg]程度のエネルギー密度まで高められると言われています。

ここで紹介している理論上のエネルギー密度というものは、調べると情報ソースによってかなり色々な数字が出てきますが、それでもリチウム空気電池が実現すれば現在のリチウムイオン電池より重さが半分で3倍長持ちのバッテリーといったレベルは十分可能性がありそうです。

 

 

  

さて、スマートフォンや電気自動車を実現可能にした革新的な電池であったリチウムイオン電池は、日本のソニーが世界で初めて商業的量産化に成功した技術でした。

リチウム空気電池を最初に量産化するのは誰になるのでしょうか。

 

 

 

 

 

Reference;

Minutes physics:https://youtu.be/AdPqWv-eVIc

Energy & environmental science:https://www.fkit.unizg.hr/_download/repository/Electrical_energy_storage_for_transportation-_lithium-ion_batteries.pdf