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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

自動運転で最も遅れるテスラと進んでいる意外な企業

テクノロジーの世界で今一番多く語られる話題の一つが自動運転でしょう。

自動車メーカーだけでなくIT企業も参戦していることから技術開発競争が激化している分野です。

中でもアメリカの電気自動車ベンチャーのテスラは、「オートパイロット」と呼ばれるドライバーアシスタント機能をすでにリリースしており、高速道路など一定の条件下ではほぼ車が自分で安全を保ちながら走行を続けることが可能になっています。今、自動運転の領域で最も進んでいる企業の一つとして捉えられることが多いでしょう。

すテスラモデルS

テスラ モデルS By Andrzej Otrębski (Own work) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

 

ところが、アメリカの技術調査会社であるナビガントリサーチ(Navigant Research)が2018年1月に発表したレポートによると、対象となった自動運転技術を開発している企業19社のうち意外なことにテスラは最下位にランキングされています。

 

レポートによれば、テスラのイーロン・マスクCEOが派手な発表を繰り返していくら世間の気を引こうとも技術的には疑わしい水準であるとされています。また資金面や製造品質に問題があることも評価を下げた原因でした。

前述の「オートパイロット」も自動運転のレベル2と言われる水準の技術で2015年の登場以来目立った進歩は見せていません。

 

 

逆にレポートで1位となったのはリーマンショック後の破産から復活したアメリカのゼネラルモーターズ(GM)です。

GMは、同社の電気自動車であるシボレーBolt EVをベースにハンドルもアクセルもブレーキペダルもない車を完全自動運転車として2019年に投入することを発表しています。

また、ライドシェアのリフト(Lyft)への出資に自動運転ベンチャーのクルーズオートメーション(Cruise Automation)の買収やメイヴン(Maven)というカーシェアリング事業を立ち上げており、会社として他社をリードするだけの知識・ノウハウを持ち合わせている点が高評価の理由でした。

もちろん、世界最大級の自動車会社として自動運転技術に巨額の投資ができるだけの収入もあります。

シボレーボルト

GMの自動運転車 By Dllu (Own work) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

そしてここで気になるのは日本企業です。

同レポートでは1位のGMの他に、2位はグーグルの自動運転プロジェクトが独立したWaymo、3位がメルセデス・ベンツブランドを抱えるダイムラー社と世界最大の自動車部品会社ボッシュ社の連合、そして4位フォードが先頭集団とされており、この中に日本企業はありません。

このランキングでは、ルノー日産アライアンスが8位、トヨタが12位、ホンダが16位とアメリカやドイツ勢に対して日本勢の出遅れが明らかになっています。

 

日本企業の遅れの最大の原因は、上位陣が自動運転という技術で何を目指しているのかを調べると見えてきます。

GMは前述の通り、ライドシェアやカーシェアなど自動車を造って儲ける以外の事業に目を向けています。ウェイモもグーグル時代から自動運転のベース車両はレクサスを使っており、開発していたのはあくまで車というハードではなく自動運転の技術そのものでした。今もクライスラーのバンをベースに自動運転車を開発しており、車を作って売るのではなく移動を消費者に提供することが目標になっています。3位のダイムラーも同様で、既に同社のカーシェアサービスであるCar2Goは世界最大の規模にまで成長しており、ユーザー同士が直接車を貸し借りするピアトゥピアシェアリングも開始予定です。

つまり、従来自動車産業を支配していたのはカーメーカー(車を創る会社)だったわけですが、それが今後はモビリティープロバイダー(移動を提供する会社)に変わろうとしている様子が見て取れるのです。

ウェイモ

クライスラーパシフィカを改造したウェイモの自動運転車 By Dllu (Own work) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

 自動運転技術とは、車のハンドルやアクセル操作が自動になるという話では終わりません。実際には車の使い方や人々が移動する方法そのものが根本的に変わり、自動車業界の勢力図も塗り替えられようとしています。

スマートフォンのアップル、インターネット検索のグーグル、ネットショッピングのアマゾンのような黒船が日本のマーケットに参入した後の日本企業は苦戦しています。まだ決着がつく前に日本からも欧米に対抗できるモビリティープロバイダーが現れることを願うばかりです。

 

 

 

 

Reference;

Navigant Reserch:https://www.navigantresearch.com/research/navigant-research-leaderboard-automated-driving-vehicles

Car and Driver:https://blog.caranddriver.com/analysis-theres-a-new-leader-in-the-race-to-develop-self-driving-systems/