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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

金より高価な金属も使い捨てに。錬金術ではお金持ちになれない理由

紙幣というものが導入されて以降ずっとつきまとっている犯罪といえば偽造紙幣の使用です。誰でもコピー機でお札が作れたら、、、などと考えたことがあるのではないでしょうか。

しかし紙幣の偽造は犯罪であるだけでなく、現在世界の主要な紙幣にはコピー防止の技術が組み込まれており、コピー機は紙幣を自動的に認識して印刷を中止するようにできています。そのため、コンビニで1万円札をコピーして大金持ちになることはできません。

 

ユーリオン

紙幣の偽造防止の代表的なものはユーリオン(EURion)と呼ばれる技術で、日本の電機機器メーカーであるオムロンが基本特許を持っているため、別名オムロンリングとも呼ばれます。

詳細は非公開のため仕組みは不明ですが、紙幣に印刷された無数のリングによりコピー機やスキャナーが紙幣を認識できる技術です。

オムロンリング

500ユーロ札でのユーリオン使用例

  

CDS

他にも、世界の中央銀行によって組織された中央銀行偽造防止グループという団体もCDS(Counterfeit Deterrence System)という紙幣の偽造防止技術を開発しており、フォトショップなどの画像処理ソフトウェアはこの技術で紙幣を認識し、パソコン上で紙幣の画像を加工処理できないようエラーを出す仕組みになっています。

 

 

このように紙幣の偽造は簡単にはできないよう技術的に予防されていますし、そもそも犯罪なので絶対にやってはいけません。

しかし、紙幣が一般的になる以前にもやはり何でもない物質から貴重な金属である金を作り出せないかと人々は考えていました。

 

 

錬金術

古代エジプトでは、死後の世界があると信じられておりミイラを作る技術が発達しました。その過程で化学に対する知識も広がっていったようです。そして紀元前332年にアレクサンダー大王によりエジプトが征服されると、物質は火、土、空気、水の4つから出来ているというギリシャの化学が融合し錬金術が誕生しました。その後、8世紀になるとアラブからスペインに錬金術は伝わり、この頃には全ての金属は水銀と硫黄の配合の違いから出来ていると考えられていました。そして金以外の金属は不完全な金属と位置付けられ、完全な金属である金を賢者の石と呼んだのです。

こうして錬金術師達は金をその他の物質から生み出す方法を探し続けました。

金塊

ところが、かつて人類は金よりも貴重な金属を工場で大量生産する方法を発明したことがあるのです。

 

 

アルミニウム

アルミニウムは地球で3番目に豊富な物質で、金属では一番豊富です。地球上にある総量は鉄の2倍近いと言われています。しかし、自然界においては主に酸素と結合した状態で存在しておりアルミニウム単独の状態で見つかることはほとんどありません。また、鉄と違い純粋なアルミニウムを抽出する方法も最近までありませんでした。そのため長い間アルミニウムは金よりも貴重な金属だったのです。

例えば19世紀には、ナポレオン三世は晩餐の際に重要なゲストにはアルミのナイフ、フォーク、スプーンを用意する一方で、それよりも身分の低い者は金や銀のナイフとフォークを使ったと言われています。また、アメリカは首都にあるワシントンモニュメントのてっぺんにアルミニウムを取り付けて、高度な科学技術力の象徴としていました。

 

このように貴重な金属であったアルミニウムを大量に生産できるようになったのは1886年のこと、この年にアメリカのチャールズ・マーティン・ホールとフランスのポール・エルーが全く別々に、それぞれ 原料のアルミナに電気を通すことで純粋なアルミニウムを抽出できる事を発見します。ちなみに、アメリカとフランスでそれぞれ全く同じ時期に全く同じ発見をしたこの二人は、なんと年齢も共に22歳で同い年だったというのですから驚きです。

ホールはその2年後の1888年には、現在Alcoaという名になっている世界的アルミニウム製造会社の前身であるPittsburgh Reduction Companyを設立しアルミニウムの大量生産を開始します。これにより、当初1パウンド(約450g)あたり550ドルだったアルミニウムの値段は、99.9%値下がりして1930年代に入ると1パウンドあたりの値段はたったの20セントにまで下がってしまったのです。

こうしてかつて金よりも高価な金属だったアルミニウムの価値は暴落し、今では最も安い硬貨である一円玉の材料に使われたり遠足のお弁当で唐揚げの下にひかれるようになったのです。

アルミニウム

一度の使用で使い捨てられるようになったアルミニウム

 

 

アルミニウムがそうであったように、現代では価値のあるものも未来の社会では全く価値がなくなっているかも知れません。

未来の錬金術は人々の生活にどんな変化をもたらすのでしょうか。

 

 

 

 

Reference;

Wendover Production:https://youtu.be/1c-jBfZPVv4

Business Insider:https://youtu.be/ajm1Rgu-0x0

University of Bristol:http://www.chm.bris.ac.uk/webprojects2002/crabb/history.html

The Atlantic:https://www.theatlantic.com/technology/archive/2014/11/aluminum-was-once-one-of-the-most-expensive-metals-in-the-world/382447/

ACS:https://www.acs.org/content/acs/en/education/whatischemistry/landmarks/aluminumprocess.html

SLATE:http://www.slate.com/articles/health_and_science/elements/features/2010/blogging_the_periodic_table/aluminum_it_used_to_be_more_precious_than_gold.html