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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

なぜアメリカのパトカーはフォードばかりなのか

アメリカのパトカーといえば、海外のニュース映像で派手なカーチェイスを繰り広げたり映画やドラマにも出てくる遠いようで意外と身近な存在です。
そんなアメリカのパトカーですが、実に2/3がフォード製だといいます。一般車両ではGMに次ぐ2位のフォードはなぜ警察車両では圧倒的なシェア1位なのでしょうか。

インターセプター

フォード インターセプター ユーティリティ パトロールカー
 
フォードのパトカーの中でも今一番売れているのは、アメリカで累計販売台数第一位のSUVであるエクスプローラーをベースとした警察仕様のインターセプターユーティリティという車種で、なんとパトカー全体の50%がこのモデルだといいます。
近年のSUV人気は世界的な流れとなっており一部のメーカーはセダンの生産から完全撤退もしていますが、警察車両においても同じようにSUV人気が顕著になっています。
そもそも警察はパトカーに限らずいろいろな車両を持っておりその中には軍事仕様の車両までもが含まれますが、警察の所有する車両の大半はインターセプターユーティリティと同様に市販車を警察の利用形態に沿って改造した車両です。
 
パトカーの歴史 
アメリカ最古のパトカーは、1899年にコリンズバギー社によって作られた電気自動車でした。パトロールカーならぬパトロールワゴンと呼ばれていたこの車両は12人まで囚人を乗せられるように設計されていました。1900年の暴動で略奪されて運河に落とされましたが、修復されて1905年まで使用されたといいます。

コリンズバギー

コリンズバギーのパトロールワゴン
現代と同じ流れを汲む最初の警察仕様の車両は、1951年製のフォード インターセプターでした。この車両のヒットでフォードは警察向け車両のシェアで58%を獲得します。
しかし、常にフォードが業界をリードしていたわけではありません。1969年から1985年にかけてはクライスラーのプリマスやダッジのパトカーがベストセラーでした。そのあとを追ったのが、1983年に登場したフォードのクラウンヴィクトリア インターセプターです。その後もGMからシボレー カプリスの警察車両が登場。スポーツカーのコルベットからエンジンを流用して搭載していることが受けて、1986年から1996年までベストセラーでした。
 
パトカーのSUV化
その後はセダンが主流だったパトカーもSUVへと移行していきます。
アメリカのセダンは燃費が悪く一回り小さい日系メーカーのセダンに販売で押されてしまい、最終的にアメリカのセダンも小型になっていきます。ところがパトカーはコンピュータなどの電子装備が重装備化していき、小さなセダンではスペース的に問題が出てきました。
一方SUVは、車の背が高いためどうしても物理的に重心が高くなってしまいます。その分過酷な運転条件では車両が横転してしまうリスクが高く、高速での追跡や緊急走行が求められるパトカーには向いていないとされてきました。

クラウンヴィクトリア

クラウンヴィクトリア インターセプター

[Mister Falcon / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]

それでもトヨタのRAV4やホンダのCR-V、そしてフォードのエクスプローラーといった車種に代表されるように乗用車のように扱えるSUVが登場したことに加えて、標準仕様よりも車高を下げてサスペンションを硬めの設定にするなどの改造をすることで、 SUVのパトカーが実現しました。
この流れを上手く取り込むことに成功したパトカーが、フォードのインターセプターユーティリティだったのです。
さらに近年は燃費の重要性も増しています。フォードの試算ではハイブリッド版のインターセプターユーティリティは一台あたり年間3500から5700ドルの節約が可能とされており、ニューヨーク市警は10,000台ある車両を全てハイブリッド化する予定と発表しています。この点も燃費に優れるインターセプターユーティリティに強みがあります。
こうしてフォードは、アメリカのパトカー市場でシェア1位を獲得したのです。
 
 
さて、日本のタクシーも日産はミニバンベースであり、トヨタの最新モデルJPNタクシーもミニバンに近いフォルムのスライドドア仕様になっておりセダンはどんどん数が減っています。日本の警察車両もセダンが消えてしまう日がいつかやって来るのでしょうか。
 
 
 
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