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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

なぜ先進国は涼しい地域にあるのか

豊かな国と聞いてイメージするのはどういった国でしょうか。現在GDP世界一位の国はアメリカで第二位は中国ですが、そういった国よりもスイスやスウェーデンなどの一人当たりのGDPが高い国をイメージする方も多いのではないでしょうか。逆に貧しい国と聞いたら、中央アフリカや南スーダンなど政治的に安定しておらず、天然資源もなく産業も発展していないような国々をイメージすると思います。
ここで気がつくのは、ほかの豊かな国々や貧しい国々を想像してみても豊かな国は気候が涼しい地域にあり貧しい国は暑い地域にあるということです。実際に世界地図を見てみると赤道付近にはほぼ豊かな国はなく、先進国はみな気候の涼しい地域に位置していることがわかります。
実は世界的にみれば平均気温が1度上がる毎にその国の一人当たりのGDPは762ドルも下がるという暑い地域ほど貧しくなる関係性があることがわかっています。
 

各国の一人当たりのGDP

 

ちなみに、一つの国の中でも寒い地域の方が豊かで暑い場所は貧しいということは起こっています。
例えば、オーストラリアで最も豊かな都市はシドニーとメルボルンですが、この2都市はオーストラリア大陸の南に位置した涼しい地域にあります。反対にオーストラリアで最も貧しいのは北端にあるダーウィンで、砂漠地帯を除けば国内では最も暑い場所にあります。
しかし考えてみればこれは少し不思議で、地理的に言えばオーストラリアの北側にあるダーウィンの方が日本、中国、マレーシア、インドネシアなどに近いため本来は貿易上有利なのです。また鉱物など天然資源も周辺で採掘できるため決して不毛の地ではないのですが、不思議なことにオーストラリアで一番貧しい都市は一番暑い場所にあるのです。
 
気温以外の要因
もちろん全てが気温だけで決まるわけではありません。例えば、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦などは気温が高い地域にありますが非常に豊かです。この場合理由は当然石油など天然資源の豊かさにあります。
天然資源の他にもその国の豊かさを決定する要因としては国内のインフラや政治的安定性なども強く関係することが知られています。このように様々な要素を考えると、その国の気温による豊さへの影響は実際には9%程度とされているのです。
その為に寒い地域にあっても北朝鮮のように豊かでない国も当然あります。気温による影響は統計的には9%ですからその他91%の影響により、涼しい地域に位置していても貧しくなることもあるわけです。
 
 
 
歴史的には立場は逆だった
ところが歴史を見てみると古代では暖かい国と寒い国は立場が全く逆だったことがわかります。エジプトやメソポタミア、マヤなど豊かな文明は暑い地域にあったのです。この当時寒い地域は不毛の地でした。
なぜ現代では、暑い地域が貧しくなり寒い地域が豊かになったのでしょうか。
古代では食糧をたくさん作れることが豊かさを決めていました。太古の昔には人口の全てが一日中食料を確保することに時間を使っていましたが、食料が豊富にあれば人口の中から食料確保に時間を使わない学者や官僚の役割を負う者が現れて技術の発展や効率的な組織運営を行い国が豊かになったのです。その為必然的に農業がしやすく食糧を大量に確保できる暖かい地域が有利だったのです。ところが、現代の国や都市の豊かさに畑の広さはほぼ関係ありません。現代では豊かさはテクノロジーに大きく依存しています。世界で最初に超大国となったイギリスは、蒸気機関という当時の最先端技術によって世界一豊かになったのです。これに続いたアメリカも電気や自動車という当時の最先端技術をいち早く取り入れた国でした。このような変化が起きた際に豊かさの中心が暖かい地域から涼しい地域に移ったのです。
 
寒い地域が有利なのは
では、なぜ寒い地域の方が有利なのでしょうか。
例えば、冬のスウェーデンで生き残るためには、どのくらいの資源を今使ってどのくらいを冬のために残すかなど計画的に行動する必要があります。そして、新しい道具や技術が発明されたらそれをどんどん取り入れることで生存確率を上げられたのです。また人々は協力をしないと生き残れません。こうした生活を以前からずっと続けてきた寒い地域の人々の方が、計画的に協力しながら最新のテクノロジーやイノベーションを取り入れてどんどん豊かになっているという理由づけが広くなされています。

スウェーデンの首都ストックホルム
つまり少し違った見方をすれば、最新のテクノロジーやイノベーションを取り入れれば気候に関係なく豊かになれる可能性が十分にあるということです。シンガポールは非常に暑い地域にありますが、上記の理由で豊かになったのです。
 
 
さて現在進行中の技術革命は人工知能やロボット、バイオテクノロジーなどです。
幸いなことに日本はいくつかの分野で世界のトップ集団に残れる可能性がまだなくなっていません。日本が今後数十年にわたって引き続き豊かな国であり続けるか先頭集団から取り残されて貧しい国になってしまうのかは、これら最先端科学技術分野で成功できるかどうかが勝負の分かれ目になるでしょう。
 
 

 

 
 
Reference;
Economics Explained:https://youtu.be/lmrra8i4hZY