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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

ベンツ?プジョー?世界最古の自動車会社はどこか

世界で最初の自動車会社と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのはメルセデスベンツでしょう。

カールベンツがガソリンエンジンで動く自動車であるパテントモトルワーゲンを発明したのが今から100年以上前の1885年のことです。この会社が現在メルセデスベンツブランドで自動車を販売しているダイムラー社へとつながっており、確かに世界最古の自動車会社といえそうです。

 

ガソリンに限定しないとどうか

しかし、ベンツの発明はガソリンで動く車でした。世の中にはガソリン以外で動くクルマもあります。

最近だとバッテリーを充電して走る電気自動車や水素で動く燃料電池車が話題ですし、タクシーは古くから天然ガスで動くものもあります。また、ディーゼルエンジンで動くトラックやバスも忘れてはいけません。

このようにガソリン以外で動く自動車にまで範囲を広げるとどうでしょうか。

 

調べてみると、ベンツのさらに100年以上前である1769年にはフランスのNicolas-Joseph Cugnotという人物が蒸気機関で動く乗り物を発明している事がわかりました。世間ではこれを世界最古の自動車だとする意見があります。

YouTubeにレプリカが実際に走っている動画があります。

youtu.be

 

しかしこの機械は、蒸気機関を使って大砲を移動させる用途のために作られたものであり、我々がイメージする自動車とは少し違う発明だったと言っていいでしょう。これもって世界最古の自動車会社とするのは少し違う気がします。

 

さてその後アメリカではOliver Evansという人物が、同じく蒸気機関を使って動く乗り物を1805年に作っていますが、やはりこちらも土を掘る用途に向けて作られた機械であり自動車とは少し違うものでした。ちなみにEvansは最終的に人が乗って移動する装置を作ろうとしていたと言われており、これがもし実現していれば世界最古の自動車会社になっていた可能性もあります。 

他には今でも自動車メーカーとして健在なフランスのプジョーを世界最古の自動車会社とする意見もあります。確かにプジョーの設立は1810年であり200年以上の歴史があります。しかし、プジョーはコーヒーミルや自転車などを製造していた会社がずっと後になってから自動車の生産にも参入したという例であり、自動車を作っていなかった期間を含めて会社が200年以上前に既にあったということで最古の自動車会社とするには無理があるように思います。

 

自動車専業の会社

では最初から自動車を製造するために作られた会社を調べてみましょう

イギリスのRichard Trevithickという人物が1803年に作ったLondon Steam Carriageという会社が蒸気機関で動く馬車のような姿をした乗り物を製作し、これは今の自動車と同じ目的を果たす機械でした。実際に試験走行も行われて乗客を乗せて時速9マイルのスピードで10マイルの距離を走りきりました。まさに自動車の原型と言えそうな乗り物です。

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Trevithickの蒸気自動車

しかし残念ながらこの車両は実験を行っただけで終わってしまい商業的には立ち上がりませんでした。今回は最初に実験した人物ではなく、最初の会社がどこなのか突き詰めていきましょう。

 

商業的な成功までたどり着いた例としては、Summers and Olgeという会社が1831年イギリス南部のタイタニックが出港した街として知られるサウサンプトンで製造した蒸気機関で動く自動車があります。この車両はその年に2台が製作され乗客を乗せた運行も始めました。翌年にはサウサンプトンから遠く離れたロンドンやバーミンガム、リバプールにも行くことができたといいます。

まさに世界最古の自動車会社かと思われましたが、彼らよりも先に成功した人がいたのです。

 

最古の自動車会社

世界最古の自動車会社は、イギリスで1825年に設立されたGurney Steam Carriage Companyという事になるでしょう。

会社設立の翌1826年に製作された蒸気機関で動く乗り物は6人が乗れる客室に加えて外にも15人が乗れる設計です。蒸気機関は12馬力があり車重は1.5トンにもなりました。日本の高度経済成長期に大衆車だったスバル360が16馬力でしたので、蒸気機関の性能は初期の大衆車レベルであったといえます。一方重量1.5トンは100馬力を超える現代のミニバン程度の重さであり、12馬力で動かすには相当な重さですが、重さも現代の自動車に近かったことが分かります。

他には現代の自動車と同じくブレーキとバックギアがあり、蒸気機関から生まれる熱を使って暖を取ることも可能でした。長さは20フィートつまり約6メートルです。トヨタの大型4WDのランドクルーザーが全長5メートルなので、現代の大型乗用車のような大きさだったことが分かります。

まさに人が移動するために設計された車両であり、機能や大きさなども現代の車に通じるものだったのです。

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Gurney Steam Carriage Companyの蒸気自動車

また、この車両はそのまま改良を続けられ1830年にはCharles Danceという人物が車両の購入契約を交わしました。これが世界で初めて自動車会社が顧客に対して車を販売した瞬間ということになります。

ちなみにDanceは、購入した蒸気自動車を使ってイギリスのロンドンとブライトンを結ぶ定期運行などを行いました。つまり現代のバス会社の様なビジネスを始めたわけです。

 

 

さて、現在の自動車産業は100年に一度の変革期と言われており、トヨタの豊田社長も生きるか死ぬかの瀬戸際と表現しています。実際に世界で最初の自動車会社は後から出てきた他のメーカーにとって代わられてしまい、その名前も誰も覚えてはいません。現在の日本には世界的な自動車メーカーがいくつもありますが、数十年後、これらのメーカーは果たして生き残っているでしょうか。

 

 

 

 

Reference;

Autoweek:https://www.autoweek.com/car-life/classic-cars/a30416075/what-was-the-very-first-car-company-its-complicated/

Grace's guide:https://www.gracesguide.co.uk/Summers_and_Ogle