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サラリーマンがネットで見つけたネタに対する感想

身長は遺伝で決まるのか環境で決まるのか

世の中には背の高い人もいれば低い人もいますが、背の高い人は両親の背が高かったからその子供も背が高くなったということでしょうか。それともバレーボールをやって背が高くなったのでしょうか。別の言い方をすると、背の高さは遺伝子で決まるのか環境で決まるのか、どちらなのでしょうか。

バレーボール



身長を決定する要素

歴史を見てみると、18世紀にヨーロッパ人男性の平均身長は165cmでしたが、当時ヨーロッパから新天地アメリカに移住した人々の子供はたった一世代しか違わないのにもかかわらず平均身長が173cmもありました。また、産業革命の頃には環境が悪化したヨーロッパでは人々の平均身長は低くなり、環境破壊が改善すると再び平均身長が高くなるということも起こっています。

これらの例からも、食べ物や栄養状態などの環境的要素は間違いなく身長の伸びに影響を与えていると言えそうです。

 

しかし我々の実感として親が小柄なら子供も小柄、親が大柄なら子供も大柄というのは誰もが思うところです。やはり環境だけではなく遺伝的要素も身長には関係がありそうです。遺伝子はどの程度身長に影響するのでしょうか。

19世紀に科学者が最初に発見したのは裕福な人ほど背が高く貧しい人ほど背が低いという関係性です。そのため当時は、人間の優劣が身長に現れるとさえ考える学者がいたのです。当時イギリスの遺伝学者フランシス・ゴルトンは、大規模な身長の調査を行い親の身長から子供の身長は予測不可能なものの、兄弟の身長差は少ないことを発見しています。

また遺伝と環境が身長に与える影響を調べるのに全く同じ遺伝子を持つ双子は好都合です。特に、生まれた直後に何らかの理由で別々の環境で育てられることになった双子は、全く同じ遺伝子が環境の違いからどのような影響を受けるかを実際に確認することができます。もちろん、異なる環境で育った双子の身長は全く同じではなく差が生まれることが確認されており、遺伝子だけが身長を100%決定しているわけではないことがわかります。

 

近年では大規模な科学的調査も行われています。

オーストラリアのクイーンズランド医療研究機構が3375組の双子や兄弟を調べた研究では80%が遺伝によると結論づけています。フィンランドでは8798組の双子を調査して遺伝子が身長に与える影響は男性が78%女性が75%とされました。

一方で、遺伝子の影響は住んでいる地域によって異なることも分かっています。2004年に中国では385組の家族を調べて遺伝子の影響は65%としています。1978年にイギリスのニューキャッスル大学がアフリカで行った研究でも遺伝的要素の与える影響は65%とされました。

巨人



身長の推定計算

では、これらの事実から例えば生まれてくる子供の身長を予測することはできるのでしょうか。

今のところ遺伝子が身長を決める上で大部分を占めている事は分かっていますが、具体的にどの遺伝子がどのように身長を決めているのかは分かっていません。

それでもある種の計算式をもって子供の身長を推定する事は可能です。

 

仮に男性の平均身長が170cmで女性の平均身長が160cmだったとして、父親の身長が175cmで母親の身長が165cmの場合子供の身長は何センチになるでしょうか。

ここでは65%が遺伝的要因として計算してみます。

 

子供の身長 = 0.65 x [(父親の身長 - 母親の身長) + (男性の平均身長 - 女性の平均身長)] / 2

 

ここから、3.25cmという数字が導き出されます。

子供が男子であれば、男性の平均身長170cmにこの遺伝的要素3.25cmを加えた173.5cmが、遺伝的に期待される子供の身長ということになります。

ここに環境的要因も同じように計算すると1.75cmとなり、子供の身長は遺伝的に決まる173.5cmに環境要因のプラスマイナス1.75cmが加わって、最終的に171.75cmから175.25cmの間に収まる可能性が高いという推定が出来るわけです。

 

もちろん、重要な栄養素であるタンパク質やカルシウム、ビタミンAやDが極端に不足すれば遺伝子の期待通りには身長は伸びません。

大多数の人は年齢が10代半ばから後半になる頃には身長の伸びが止まりますから、遺伝子の持っている身長のポテンシャルをフルに発揮するためには、その年齢までに十分な栄養を摂取することが非常に重要なわけです。実はこのことが、先に述べたオーストラリアで20%しか身長に影響していない環境要因が、アフリカでは35%も占める理由の一つと考えられています。理由は、現代の先進国では重要な栄養素が不足するということはまず起こらないため、純粋に遺伝的な要素で身長が決まりやすいのです、一方でまだまだ栄養不足に陥りやすい発展途上国では、遺伝子だけではなく栄養の摂取状態などの環境的要因が先進国よりも大きな割合で身長に影響を与えているというわけです。

事実、数十年前に分断された韓国と北朝鮮の人々は平均身長に2.5cm以上も差が出ています。

 

 

さて、みなさんは遺伝通りの身長に成長したでしょうか。両親の身長から計算してみるのもいいかもしれません。

 

 

 

Reference:

Scientific American ; https://www.scientificamerican.com/article/how-much-of-human-height/

It's OK to be smart ; https://youtu.be/0cuO5OSDMbw